小川洋子さんの「博士の愛した数式」を読みました。
家政婦をしている主人公が、昔事故に合い80分間しか記憶が維持できなくなった数学者の”博士”の元で働く事になったのをきっかけに紡がれる物語で、作中に様々な数学の話が織り込まれ知識的に満足させてくれるだけでなく、(ネタバレになるのですが)博士が最後亡くなるのですが、そのシーンを書かなかった事がなによりも凄いと思わせてくれる話でしたね!
嫌な話ですが、登場人物の死や不幸なシーンというのは、ある意味最も物語が盛り上がり、読み手や観客の心を動かし、ある種の感動を与えるシーンなので、人気取りの為に安易によくこうした手法をとる作品が多いのですが、そういった作品で描かれる死というものはかなり美化されており、正直、非常に嘘くさく陳腐なものに感じてしまい私は全く感動できません(´'ω'`)
死や病気というものは生きていれば必然のものですし、当然綺麗事では済まず、またその現象に伴って起こる事も決して綺麗なものではないので、そうした事を知った上であえてそういうシーンを描くのが芸術であり、文学でもあるという意見もあるでしょうが、私はそのシーンを描くという事に抵抗や忌避感を持つのは人間としてはしょうがない普通の事だと思いますし、あえて描いていない方によりリアリティや、対象に対する愛情や愛着、物語に文学性を感じます。
こうした事から、この作品は以前読んだ堀辰雄さんの「風立ちぬ」同様のとても美しい作品になっていると思い、読み終わってから非常にスッキリとした良い気分になりました( ^ー゜)b
