タケルは在マレーシア日本国大使館の日本人職員のもとにホームステイと証し預かられているらしい。その職員宿舎、といってもクアラルンプールでも大きな邸宅だが、閑静な住宅街の広い芝生の庭のある家だった。柵も物々しいものではなく、180cmのマルシチには中の様子が沿道からまるまる見える開放的な家だ。タケルはその庭でふがふがゆう白いフレンチブルドックとキャッキャと遊んでいた。
「こら!豆蔵!やめろって!」
ここに来て10日と経たないだろうにこのタケルのリラックス感はこの豆蔵の力が大きいのだろう
こんな犬のいるうちは平和なのだろう。とりあえずマルシチは胸を撫で下ろした。