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日々

とくになし

午後早くに帰宅したお嬢さん(養女)に「メガネの洗浄スプレーある?」と聞かれ、

マジシャンのように華麗に「はい、どーぞー」と手渡し

しばらく経って「メガネのスプレーを使い終わった?」と

返却を求めた。

返却を求めなかったら、それは 無 く な る からだ。

 

夫もお嬢さんも使った物を放置し、行方不明になる事が多々ある。

彼らはしょっちゅう探し物をしながら

「この家はホーンテッドだ…物がなくなる」

と、遠くから私に嫌味を言ってくるが、どっかにやっているのは彼らだ。

 

見かけると私が元の場所に片付けている。

 

スニーカーの片方に入っているハサミ、窓枠に置かれた乾電池、

観葉植物の鉢に入った携帯電話のチャージャー、靴箱に入ったサンドウィッチ…

謎の場所から見つかる物が沢山ある。

 

片付け…そう、チワワ・夫・お嬢さんは『元の場所に戻す』が苦手。

『またかバカが!くそ野郎っ!』と脳内では叫びながら

怒りのツイスト&シャウトしつつ「はい、どーぞ」と

ハサミやらピンやら手渡し「引き出しに仕舞ってね」を繰り返す日々。

ヴィクトル・ユゴー(レ・ミゼラブル)もアン・ルイスも

片付けられない家族と暮らしていたのだろうよ。あぁ無常

 

 

さて、返却を求め受け取った透明のスプレーボトル。

中身が大量に消費されている…

我が家は夫も私(夜間のみ)もお嬢さんもメガネなので大きな洗浄スプレー

を常備している。

それがメガネ100個分ほどキレイキレイしました!くらいに減っている。

 

何も言うまい…と思った。

言わないけれどボトルを目の高さまで持ち上げ、中身をシゲシゲと眺めた私。

確かにイヤミなババアだと思うが、自然にそういう事をしちゃう。

ナチュラリストってヤツかね、素直ってヤツかね、身体が覚えているっちゅーんかね。

 

お嬢さんはそんな私に「私のバスルーム、掃除したよ!見て!」と

鼻を膨らませている。

「まあ素晴らしい!アナタは私の誇りですよ」とアメリカ式に

褒めたたえ、お嬢さんに腕を引っ張られながら2階のバスルームへ。

 

洗面台の大きな鏡、それが夢の世界のごとく曇っている。

お嬢さんは「あれ?拭いたよ?」と驚いている。

「メガネスプレーで拭いたんだよ」と…なるほど。

 

鏡だ。なぜ酢と新聞紙を使わないのだ、なぜガラススプレーを使わぬのだ?

以前、ガラステーブルを拭いた時に教えただろう。

 

「鏡と窓はガラスクリーナーですよ。メガネのとは成分が違うの」と言うと

途端にプンスカプンスカ怒り出すお嬢さん。

断じて言うが私は穏やかに伝えただけだ。

 

「だって同じ透明の物でしょ!何でよー!?」と若き血潮がこの世の謎に

怒っている。こえー!!!20歳女子の怒りの沸点わかんねー!

 

 

その後は、夕食まで機嫌の悪いお嬢さん。

 

老いた身体でヨロヨロと調理している私にくっついて

「レタスなんか手でちぎればいい」「またトーフのスープ(味噌汁)」

とグズっている。

むくれた顔も可愛いので、いつもは甘やかしているが

自分の犬・ソフィ(極悪チワワ)にまで「クサッ!うるさい!」と

八つ当たりしているので

「うるせーのはオマエだぁっっ!こんな小さな犬に怒鳴るんじゃないっ!」

と久々に注意したのが、御主人様であるお嬢さんを怒鳴りつけた私に

チワワが激怒。

「コロ してやる!」と決意も固く、私の足元で吠えたてながら

噛み時を狙っている。

 

「踏んじゃうよー」と抱き上げたら、腕をガブガブ噛まれたが

相手は歯がない老犬。

歯茎を感じつつ 鍋 に 犬 を 入 れ た 。

このチワワが足元でうろついている時は危ないので箱か鍋に入れる。

大きな赤いホウロウ鍋に入ったソフィは、飛び出せない。

そして妙に落ち着くらしく、大抵すぐに静かになる。

 

が、今夜のチワワとお嬢さんはその後もずいぶんプンスカしていた。

夫はグズグズと文句を言っている娘と犬と私を見て

「女性はうるさいねぇ」と楽しそうだった。腹立たしい。

 

 

今夜は静かに雨が降っている。

極悪チワワも私も年をとっているせいか雨の日は何とも気だるい。

でも気分が落ち着く。

先程ベッドにだらりと寝ころび

「雨の日はさ~原始人の頃の記憶だかであんまり動かないんだってよ」

と横で寝ているチワワに言ったら、いかにも

「あ~そう」と返事しているような顔をした。

たまに気が合う。