ドンペリ玄関 @ 小説置き場 -6ページ目

ドンペリ玄関 @ 小説置き場

 グループブログ「ドンペリ玄関」です。
 基本的に、小説を書いていこうかと思ってます。



 真夜中、町へと再び戻ってくる影を見た。どうやらこの町に、自分以外の“人”がいることに気づいたみたいだ。
 ――どうしようか。
 自分の中に浮上してきた選択肢は、一つしかない。
「やってしまおうか」
 声と共に、鉄製の何かが地面へぶつかり、火花が散った。
 その後に残るのは、暗く沈んだ月の光と冷たい風。
 まだまだ、夜は明けそうにない。


 第三話


 その時、火花が散った。
 薄暗い月の光の中でのそれは、まるで星のようだった。
「俺が星になっちまうわ!」
 平たいフラットな地形の一箇所に、穴があいているところがある。
 およそ四メートル。人が飛び越えられないくらいの穴だ。
 いや、穴というより、クレーターと言った方が賢明だろう。
 そのクレーターの中には、一人。
「はぁ……」
  薄汚れた青いシャツと、茶色い土がアレのようにケツに付いているズボンを着こなし、なぜかよく似合っている。
 彼はスティーブ、旅人だ。これもう二回目。
「クリーパーさんコワスギデス……」
 この世界には、ゾンビの他にもモンスターが存在する。
 その中に、クリーパーという怪物がいた。
 身長はスティーブと同じ、二メートルほど。しかし、クリーパーはヒトの近くへと行くや否や、爆発する。
 それに、クリーパーには地味なチート的能力が有り、足音がないのだ。本気で殺しにかかってきていると言っていいだろう。
 このことから、多くの旅人には地形破壊の達人。リフォームのた、ではなく、爆破魔として恐れられている。
 今回、それにまんまと爆破されたスティーブは、髪一発のところで爆破の威力を最小限まで抑えた。
 いくらおっちょこちょいだからといって、数年旅人をしているスティーブは、やはり悪運が強い。
 ここまでは、彼の自画自賛だ。彼が誇らしげに心の中に留めている事を述べただけなのだ。
「俺はそんなこと思ってない!」
 一人ツッコミは、所詮一人ツッコミで、誰も聞く耳を持つものは居なかったのだった。


 ○


 暗闇の中からでも良く見えるビルが、スティーブの前に顔を出した。
 五十メートルはあるだろうか。いや、もしかすると百メートルくらいなら行ってそうだ。
「さて、ここから人間を探さないといけないな」
 ぐぅ。腹が鳴る。
 スティーブは腹を抑え、なにか食べ物でもないかな、と口を漏らす。
 その言葉に、言葉を重ねる者はいない。
 その言葉を、聞くものもいない。

 しかし、その言葉をチャンスだと思ったものは――
「死ねえええぇぇええぇええ!!」
 一人だけいた。


「うわぁっ!?」
 突然の奇声に、スティーブ自身も奇声を上げる。
 慌てて後ろを睨む。誰もいない。
 前へ向き直る――瞬間、スティーブの体に電撃が走った。
「!!」
 声にならぬ悲鳴。まさにそれだ。
 長方形の手をかすめる位のところに、光る物があった。
 一振りの剣。斬れ味からすると、鉄剣。
 まずい。
「だっ誰だ!?」
 痛みに耐えながらスティーブは唸る。
 しかし、相手からの返答は返ってこない。
 ――闘うしかないのか
 そう考え、背中へと手をやった。
「あ、れ……?」
 ない、ない、ない無い無い無い無い、無い!!!!
 そこにあるはずの、スティーブ愛用の剣が、何処にも無い。
 そこで思い出す。
 自分は死んだのだと。自分は、全てを失い、この世界に来たのだと。
「あ……」
 目の前が真っ暗になる気がした。
 何も、考えることが出来ない。
「……終わりだ」
 相手は、スティーブを、

 You died

「シネ」
 殺した。


 ○


 混沌とした世界から逃げ出すように、二つの選択を選ぼうとした。
 したのだったが……。
『あれ……なんで……』
 先ほどの世界の数億倍は真っ暗な、死後の世界。
 ここでは二つの選択、今までいた世界に生き返るか、新たな世界へと旅立つか、を選べる。はずだ。
『なんで……無いんだよ……』
 嫌だ。もうあんな世界には行きたくない。元居た世界へ帰りたい。
 だが、選択はそれを許すことはなかった。
 微かな意識の中に浮かび上がるもの。
 ――Respawn
 ただ、それだけ。
『もう一つは何処へ!?』
 本来ならもう一つ、New worldというモノが浮かび上がるのだが……、
 それは何処にも無い。
『あ……これはもう……』
 死より恐ろしいものを感じたスティーブだった。


 ○


 また、地獄のような地へ降り立った。
「あーあ」
 暗い。そこはかとなく暗い。
 またあの長い長い道を行かなければいけないのだろうか。
「あーあ」
 仮に、あの長い道を越えても、次に待つはなんだか良く分からない殺人鬼。
「あーあ」
 三度目のため息がでた。


 そして、見つけた。


 数メートル先に、暗くて良く見えないが、“木”らしきものがある。
「なんで……あんなところに?」
 こんな腐敗した土地に、どうしてあんなものが育っているのだろう。スティーブは疑問に思いながらも、“木”らしきものへと近づいていく。
 そこで全てがわかる。
「これは……」
 数々の地を巡ってきた経験をもつスティーブでさえも数える程しか見たことがない、世界拡張の鍵『Mod』。
 ソレは、今、目の前に広がる土地そのものだった。
「嘘だろ、おい!!」
 まるで毒に支配されたような紫色の木が、黒い葉を落としながら広大な暗黒の大地で、堂々と腰を下ろしている。

 未知の世界での無知は、命取りとなる。
 そして、その無知を背負うものは……
 スティーブただ一人だけだった。


 ○


 また殺してしまった。罪のない者を、また。
「まあいいさ……」
 辺りは大分明るくなってきていた。夜が明けるのだ。
 ここは“人間側の大地”と“暗黒の大地”の国境に位置していた町ムート。
 民の数は約数千人だったとされている。
 この町の地下には、立派なマグマだまりがあり、そこで黒曜石を量産し、この世界に『Mod』の力によって追加された黒曜石のツールを作っていた、らしい。
「今では誰も住んでないただの廃墟の塊みたいなもんだがな、っと」
 コツン。石ブロックの上に何かが落ちた。
 薄暗いところで光ったそれは、紛れもない、

 スティーブを殺した鉄剣。

「…………」
 それを無言で拾い、肩へとかける者は、スティーブを殺した本人。名はアレックスだ。
「太陽だ」アレックスが呟いた。
 ヒビ割れた窓の外には、太陽の温かい光。
 人間側の土地にしか出ない太陽は、とても輝いていた。
 暗黒の大地には、太陽は出ない。
 これは、人間だけのものだ。
 そう思って“あちら側”に行ったヒトは、何人くらいいるのだろうか。
 そんなことは誰もわからない。
 ただ一人だけになったこの世界では、何を考えることもできないのだから。





 徐々にこのworldのことがわかってゆく……

 どうでもいいですが、この小説学校行き帰りの電車の中で書いてやすww