
23時45分
今井達と浅葉家は皆
裏山へと来ていた
今井と宮下は阿吽の台で
サヨコを封印するサポート
益子に取り憑いた勢至を含む浅葉家は
干支封射留土でスタンバイをしていた
世鶴は干支封射留土の真ん中でサヨコをおびき出す
23時50分
何を思ったか今井が阿吽の台から降り
世鶴の方へと走った
「え?くっきー…何して…
世鶴が言い終わる間もなく
今井は世鶴を抱いた
「お前はこれ以上苦しむ必要はない…俺がおとりになる、今まで恋人同士みたいなことができなかったが…その埋め合わせだ」
今井はそういって
優しく世鶴を突き放した
「くっきー!あなたは自称一流名探偵でしょ!まだあなたを必要としてるひとが大勢いるかもしれないじゃん!」
「自称じゃなくて自他共に認める超☆一流名探偵だ…ヒーローはカッコよく死ぬほうが伝説チックだろ?…探偵業はお前に任せる…」
今井の言葉は本心を押し殺してるようにも聞こえた
世鶴が今井の元へ走ろうとしたとき
今井が「来るな」と一喝した
世鶴は宮下に連れられ阿吽の台へと連れていかれた
世鶴は泣いていた
宮下も困っていた
「世鶴さん!今井先輩を信じましょう!ヒーローが簡単に死ぬわけないじゃないですか!先輩は悪運が強いです…俺がいなかったら昔に石榴鬼に殺されてた筈ですから…」
世鶴はそれを聞いて覚悟を決めた
そして叫んだ
「死んだら承知しないから!!」
今井は世鶴に背を向けたまま
世鶴に向かって
両手の人差し指を突き出した
22時59分
霊感の無い人間にもわかる
なにか禍々しいものが近づいていることぐらい
今井は叫んだ「来いよ!クソガキ!」
浅葉家の人間は皆
結界で自らを守り、臨戦態勢へと入った
どこからか子供の笑い声が聞こえる
世鶴と宮下は阿吽の台のスタンバイをした
阿吽と言っても実際は
二人で引き金を引かなければ使えないだけなので阿吽の呼吸が必要なわけではない
今井は覚悟は決めたものの
なぜか“もし死んだら”ということを考えてしまっていた
世鶴一人で探偵業を続けていけるのか
自分の命よりも明らかに世鶴のことが考えを占めていた
サヨコが暗闇から姿を現した
今井を見つけ一直線に歩いてくる
干支封射留土に入った途端に
浅葉家は呪文ともお経つかないようなものを唱えている
阿吽の台を動かすのはサヨコが干支封射留土の
ど真ん中に来たとき、その一瞬である
「か…かかって来やがれメスガキ!甲斐性なし!…バケモノ!」
サヨコは今井に煽られ
走り出した
干支封射留土の中心をサヨコは反れた
今井が中心から離れていたからだった
触れられれば即死する
そんな情報を吹き込まれて近づける人間なんている訳が無い
今井は覚悟を決めた
中心に立ち、静止した
サヨコはジリジリと距離を詰めてくる
サヨコが消えた
消えたのではなかった
今井の足元にいた
今井が気づく間もなく手を掴まれた
世鶴と宮下が慌てて阿吽の台の引き金を引いた
レーザーのような光が
今井とサヨコに当てらてた
サヨコは聞くことすら耐え難いような奇声をあげている
今井はサヨコを引き離した
「あばよ」
そう一言言った
だがもうカッコつける余裕はない
意識が朦朧としている
サヨコは封印されるのを拒絶したせいで
自らの身を滅ぼした
サヨコは砕け散った
今井は倒れた
ソファーに体が沈むような感覚だった
世鶴と宮下が倒れた今井に駆け寄った
世鶴と宮下の声はほとんど聞き取れない
今井は薄れゆく意識の中で
一滴の涙を流した
そして目の前が真っ暗になった
今井は目を覚ました
自分がいるのはベッドの上のような感覚だった
ベッドではない
リクライニングチェアだ
「夢…か?」
今井はようやく状況を理解した
海外でのとある案件で飛行機の中に居ることを
しかし今井は知る由もない
日本で世鶴があんな目にあっている事など…
劇場版MASKROS 市松人形サバイバルバトル終