マレーシアでは、独立記念日の8月31日が近づくと、街のあちらこちらでマレーシアの国旗を目にするようになる。


それは、家や、道や、施設に限らず、走る車においても、である。


国旗は国の喜びの象徴であり、この光景を私はいつも羨ましく眺めていた。



では、我が国日本はどうかといえば、建国記念(の)日であっても祝日であっても、日の丸を目にすることはあまりない。


特に近年では、公共施設を除いた家々に、日の丸を見ることは殆どなくなった。


日本の祝日なのに。


ここは日本なのに。


躊躇うことなく国旗を掲げて喜べないとは、実に悲しいことである。



墨田区の押上に日の丸を買いに行った。


ネットでも国旗は買うことができるのだが、国旗を買ったことがなく、サイズ感も取り付け方もわからなかったので、まずは旗の専門店に行こうと思った。


『TOSPA』は、日本の国旗だけでなく世界の国旗も扱う旗の専門店である。


日本の国旗においては、卓上のものから大型のものまで豊富に揃えているのでサイズで困ることはまずない。


一般的なものは金具を外壁に取り付けて旗竿を固定するのだが、金具を取り付けなくてもいいタイプがないか探していると、マンション用のものがあるとのこと。


これは、取り付け部分が強力磁石でできているので、玄関ドアが鉄製ならば取り付けることができる。


サイズも大中小があるので、好みのサイズを選ぶことができる。



運良く自宅の玄関ドアは鉄製だった。


だから、マンション用の国旗を取り付けることができる。


ならばと、思い切って大きいLサイズを購入した。


それでも、戸建て用の一般的な国旗に比べれば随分と小さい。


マグネット式 Mサイズ国旗セット


初の掲揚は来年の正月に決めた。


のだが…


祝日に国旗を掲揚している家など見たことがないこの辺りで、日の丸国旗をはためかせていたら、

「あの家、右翼なんじゃないの?」

と冷ややかな視線を浴びないだろうか?


変に距離を置かれてしまわないだろうか?


などと悲観的な考えが頭をよぎるが、そもそもである。


自分の国を愛して何が悪い!


自分の国の喜ばしい日に国旗を揚げて何が悪い!


それが右翼だと言うのなら、右翼の何が悪い!


何故自分の国の国旗を掲揚するのに躊躇わなければならないのか?


何故国旗を掲揚するのに周りの目を気にしなければならないのか?



購入した国旗の組み立て説明書の袋には、

「国旗」と書かれている。


袋の下には、小さくも見える大きさで、

「日本製」と書かれている。


そして、袋の横には、これまた見える大きさで、

「祝日には国旗を掲げましょう」

と書かれている。


それらの文字をしげしげと見ていると、何故だか淋しい気持ちになってくる。


そんなこと言われなくても、祝日に国旗を揚げるのは当たり前だと思うからか。


昨年まで住んでいたマレーシアでは、国旗を揚げることは至極当然のことだった。


躊躇いのかけらも見かけなかった。


日本もいつか、何の躊躇いもなく国旗を掲揚できる日が来るだろうか。