近くの豆腐屋は、いつも朝早くから動き出している。


店は10時に開店するのだが、隣接する工場の扉は開いていて、開店前でも小銭と交換に豆乳が買えるようになっている。


ここの豆乳はできたてほやほやということもあり、開店するとすぐに売り切れてしまうので開店前を狙う客も多い。



創業は昭和一桁、もうすぐ100年になる。


つい最近までお婆さんと息子夫婦の3人で切り盛りしていたが、80歳を超えたお婆さんが体調を崩し、今は息子夫婦の2人だけで回している。


お婆さんがお元気なときは、お婆さんが売り場担当、ご主人(息子さん)が製造担当、女将さん(息子さんのお嫁さん)がその補助をしていたが、これを2人でやり繰りしないといけなくなったということだ。


さらに女将さんはお婆さんの面倒も見ることになるだろうから、製造担当のご主人まで売り場に顔を出さないと店が回らなくなってきた。


最近、ときどき「臨時休業」の張り紙を見るようになった。


3馬力だったものが2馬力になった訳だから、急な休みも必要だろう。


もしかすると、お婆さんの具合が悪くなったのか?


そんなことを考えながらシャッターの閉まった店の前を通る。



そして今日、水曜日だというのにシャッターが閉まっている。


しかも、「臨時休業」の張り紙もない。


心配になった。


何か突発的なことがあったのだろうか?


跡継ぎはいないようだから、まさか店を閉めてしまうとか?



そんなことはないと願いつつ、朝の散歩から家に戻る。


未読のブログが溜まっていないだろうかと、iPad を開く。


まずはスケジュールのページを開いて、今日の予定を確認。


すると、『昭和の日』という文字が目に入った。


え? 今日は4月29日?


なんだ、祝日だった!



私が子どもの頃は、祝日になるとあちらこちらで国旗を掲揚していた。


それが今では、交番か公共施設を除いては殆ど国旗を揚げなくなった。


だから、今日が祝日かどうかすぐにはわからなくなってしまった。

(リタイアしたせいもあるだろうが)



我が家では、今年から祝日には国旗を掲げることにしている。


にもかかわらず、迂闊にも今日は祝日。


慌てて玄関の外に国旗を掲揚した。


ただ、この辺で国旗を掲揚しているのはおそらくウチだけだと思う。


それは何とも寂しい限りだが、明日には豆腐屋のシャッターが開くことを思うと、少しホッとした気持ちになった。