ブラシレスDCモータ(BLDCモータ)とブラシ付きDCモータは、いずれも直流電力を回転運動に変換するモーターですが、その動作原理や構造にはいくつかの違いがあります。

ブラシレスDCモータ(BLDCモータ):

動作原理: BLDCモータは、永久磁石がローター(回転部)に配置され、ステータ(固定部)にはコイルが配置されています。電流をステータのコイルに供給することで、ローターに回転力が生じます。制御回路によって、ステータのコイルへの電流の切り替えタイミングを制御し、回転を実現します。


ブラシの有無: BLDCモータは、ブラシ(機械的な接触部品)を使用しないため、ブラシレスと呼ばれます。このため、摩擦や摩耗の問題がなく、メンテナンスが不要です。

長寿命性: ブラシレス構造により、摩耗が少なく、ブラシ付きモータよりも長寿命です。

効率性: BLDCモータは、ブラシの摩擦損失がないため、より効率的に動作します。また、回転子が永久磁石であるため、磁気エネルギーの損失も少なくなります。


ブラシ付きDCモータ:

動作原理: ブラシ付きDCモータは、ローターに永久磁石があり、ステータにはコイルがあります。ステータのコイルに直流電流を供給することで、ローターに回転力が生じます。ブラシとスリップリング(回転子の電気的接点)の接触によって、電流がスリップリングからローターのコイルに供給されます。

ブラシの存在: ブラシ付きDCモータは、ブラシとスリップリングを使用するため、定期的なメンテナンスが必要です。ブラシの摩耗や交換が必要な場合があります。

効率性: ブラシ付きモータは、ブラシの摩擦やスリップリングの接触による損失があり、効率がやや低くなる傾向があります。

ブラシレスDCモータは、ブラシ付きDCモータと比較して長寿命で効率的な動作が可能であり、特に高性能な産業や自動車のアプリケーションなどで広く使用されています。一方、ブラシ付きDCモータは、比較的低コストで制御が容易なため、一部の低電力アプリケーションや小型機器に依然として使用されています。