マクロビテイストの自然食

ヘルシークッキング

ひまわり講話

食べ方は生き方


   ― 東洋の知恵に学ぶ食のこころ ―





1. 人間の食事


私たち人間の食事は、実は進化の過程と深く関わっています。
動物の歯の形や本数を見ると、どんな食べ物に適応して進化してきたかがわかります。
草食動物は、草をすりつぶすための歯が発達しており、前歯も多くあります。
肉食動物は、肉を引き裂くための犬歯(牙)が発達しており、その本数も多いです。
穀物を主に食べる動物は、穀物をすりつぶすための臼歯が発達していて、本数も多くなっています。

では、人間の歯はどうでしょうか。
私たちの歯は全部で32本。内訳は臼歯20本、前歯8本、犬歯4本です。
この割合を比率で表すと、臼歯:前歯:犬歯=5:2:1となります。

つまり、身体が穀物を中心に、植物性食品や動物性食品をバランスよく摂ることに適応して進化してきたことを示しています。

言い換えれば、穀物5:植物性食品2:動物性食品1の割合で食べるのが、私たちの身体に自然な食事といえるのです。

2. 東洋の食事


東洋の伝統的な考え方、特に中医学では、人間も自然の一部として捉えられています。
約5000年にわたる観察の中で、健康でいるための食事のあり方が説かれてきました。

中医学では、病気になってから治すのではなく、病気になる前に食事で整えることが最も重要とされ、これを「上医」と呼びます。

基本の順序は次の通りです。

①穀物

穀物を主に食べる

②野菜と野草

穀物で足りない栄養は野菜や野草で補う

③果物

穀物、野菜野草で不足する栄養は果物で補う

④動物性食品

最後に必要に応じて動物性食品で補う

この順番に沿った食事は、自然のリズムに沿い、身体を無理なく整える知恵です。

3. 日本の食事


日本では昔から「ハレの日」と「ケの日」という考え方で、食事を分けてきました。

ハレの日:お正月や節句、お祭りなど特別な日。

たくさんのごちそうを用意し、家族や地域の人々とともににぎやかに楽しみました。

ケの日:普段の暮らしの日。

基本は一汁一菜や一汁二菜で、少し豪華にする時は一汁三菜が一般的でした。

「一汁二菜」は、主食・主菜・副菜・漬物の構成です。
主食という概念がない国もありますが、日本人にとって炊いたお米は体質的にも合った食べ物でした。

また、昔のごはんは精白された白米ではなく、玄米に近い分づき米が主流でした。
当時は精米技術が発達しておらず、もみ殻を取り除くだけの米しかなく、1分づき〜9分づき、あるいは2分づき〜8分づき程度が一般的だったと考えられています。