それでも養育費変更が認められないということがありますか。
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A 「過剰」状態が続いた→「不足」状態に陥った,という事例で
「トータルで考えて変更しない」という裁判例があります。
【養育費変更;過剰+不足→トレードオフ;裁判例】
Q養育費を決めた後に,経済的状況,バランスが変化しました。
それでも養育費変更が認められないということがありますか。
A「過剰」状態が続いた→「不足」状態に陥った,という事例で「トータルで考えて変更しない」という裁判例があります。
一般的に,養育費を決めた後に,元夫,元妻の経済的バランスが変化した場合は,養育費の変更が認められます(民法880条)。
ただし,実際に養育費変更を認めるかどうか,については「現在の経済的バランス」だけで判断されるわけではありません。
「過去の養育費支払履歴」が参照されることもあります。
具体的には,本来減額されるべき事情があったにもかかわらず,減額しない金額を払っていた,という事情が考慮された裁判例があります。
その後の「増額すべき事情」が生じた時に,トータルで考えて,変更を認めない,という結論に至っています。
この裁判例を紹介します。
<養育費の「過剰」→「不足」→トータルで変更を認めなかった裁判例>
・大阪高裁平成19年11月9日
養育費の合意
終期は18歳
↓
元妻の再婚相手と子供とが養子縁組した
元夫(支払義務者)が再婚した→子供が誕生した
↓
これらは「減額事由」
しかし,変更なく,従前の金額どおりでの支払いが継続した
↓
子供が大学に進学することとなった←想定外
↓養育費変更調停,審判
裁判所の判断
養育費支払の終期を18歳から22歳に延長するだけの事情の変更とは認めない
[民法]
(扶養に関する協議又は審判の変更又は取消し)
第八百八十条 扶養をすべき者若しくは扶養を受けるべき者の順序又は扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その協議又は審判の変更又は取消しをすることができる。
[平成19年11月 9日 大阪高裁 平19(ラ)656号 子の監護に関する処分(養育費請求)審判に対する抗告事件]
第1 事案の概要等
1 事案の概要
(1) 抗告人(元夫)と相手方(元妻)は,昭和62年×月×日婚姻し,平成元年×月×日未成年者をもうけたが,平成7年×月×日,未成年者の親権者を相手方と定めて協議離婚し,以後,相手方が未成年者を監護養育している。
この間,抗告人は,離婚時における未成年者が18歳に達するまで養育費を支払うとの合意に従い,相手方に対し,月額5万円の養育費を支払ってきた。
(2) 相手方は,平成18年12月×日,原審に対し,未成年者が大学進学を希望しているがその費用を捻出できないなどとして,未成年者が22歳に達する月まで引き続き月額5万円の養育費の支払を求める調停の申立てをした(平成19年×月×日調停不成立により,原審判手続に移行。)。
(3) 原審は,平成19年6月22日,平成19年3月から未成年者が成年に達する月までの間の抗告人の分担すべき未成年者の養育費の額を月額1万5000円(月末払い)と定め,抗告人に対し,審判時までの未払分4万5000円(3か月分)の即時支払及び平成19年6月から未成年者が成年に達する月まで,月額1万5000円の支払いを命じる旨の原審判をした。
(4) 本件は,これに対する抗告人からの不服申立て事件である。
2 抗告の趣旨及び理由
(1) 抗告人は,原審判を取り消し,本件を大阪家庭裁判所に差し戻す旨の裁判を求めた。
(2) 抗告の理由は,別紙のとおりである。
第2 当裁判所の判断
1 事実関係
(1) 記録によれば,原審判1頁24行目から3頁12行目までの事実が認められる。
(2) 記録(当審分を含む。)によれば,更に,次の事実も認められる。
ア 抗告人は,平成9年×月×日,相手方がDと再婚したことに伴い,未成年者も同人と養子縁組をしたことを知り,その後も,「抗告人は,相手方に対し,未成年者が18歳に達する月まで,その養育費として月額5万円を支払う。」旨の相手方との協議離婚時の合意(以下「本件合意」という。)に従い,平成19年2月まで毎月5万円を支払い続けたが(このうち,未成年者の養子縁組から養父の死亡時までの間の支払分は相当額に達している。),上記養子縁組の事実をもって本件合意により定められた抗告人の養育費分担義務を変更すべき事情として問題を提起することをしなかった。
イ また,抗告人は,平成9年×月×日に再婚し,妻との間に,同年×月×日長男を,平成12年×月×日長女を,それぞれもうけたが,これらの事情についても,本件合意に定められた養育費分担額の減額事情として問題を提起することはなかった。
2 上記の事実関係に基づき,相手方の原申立ての当否を検討する。
(1) 当事者の合意によって養育費の分担額や分担期間を定めた場合も,その後,事情変更が生じて,従来の養育費の定めが実情に適さなくなった場合には,これを変更することができると解される。
したがって,本件において,相手方が,本件合意による養育費分担の終期(未成年者が18歳に達する月,すなわち,平成19年2月まで)以降も,更に抗告人に対し,養育費の分担を求めるためには,上記合意による終期の定めを維持することが,その実情に照らして相当でないと認め得るような事情変更があることを要する。
(2) ところで,上記認定事実によれば,本件合意後,未成年者と相手方の再婚相手との養子縁組,抗告人の再婚及び子の誕生という本件合意に定められた養育費の分担義務を減免させるような事情変更が生じたが,これらについては,当事者間において一切考慮されず,その結果,抗告人は,相手方に対し,本件合意どおりの養育費分担額を支払い続けたものである。
このような本件合意後の経緯に照らせば,未成年者の大学入学やその準備に費用を要することをもって,本件合意による養育費分担義務の終期の定めの延長を認めるべき事情変更があったとみることは相当でない。
(3) そうすると,抗告人は,本件合意に従った養育費分担義務をすべて履行しており,平成19年3月以降も,抗告人に未成年者の養育費分担義務を認めることはできないから,相手方の本件申立てを却下するのが相当である。
以上を指摘するものと解される抗告人の主張は理由があるものというべきである。
3 以上の次第で,本件抗告は理由があるから,家事審判規則19条2項に従い,これと異なる原審判を取り消し,上記説示に沿った審判に代わる裁判をすることとして,主文のとおり決定する。
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