養育費変更;元夫,元妻それぞれが再婚~養育費変更;再婚の影響~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

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大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q 夫婦で離婚しました。子供を妻が引き取りました。
  夫が妻に毎月支払う養育費も定めました。
  その後,(元)夫,妻それぞれが別の異性と再婚しました。
  養育費は変更することになるのでしょうか。


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A 再婚の時点が,養育費を定めた時点よりも「後」であり,経済的状況のバランスがある程度変わった,
  という場合は増額または減額が認められるでしょう。


【養育費変更;元夫,元妻それぞれが再婚】
Q夫婦で離婚しました。子供を妻が引き取りました。
夫が妻に毎月支払う養育費も定めました。
その後,(元)夫,妻それぞれが別の異性と再婚しました。
養育費は変更することになるのでしょうか。

A再婚の時点が,養育費を定めた時点よりも「後」であり,経済的状況のバランスがある程度変わった,という場合は増額または減額が認められるでしょう。

離婚後に元夫と妻の双方が別の異性と再婚した場合,当然,それぞれの経済的状況は変わります。
新たな配偶者との間での相互の扶養義務が生じます。
子供も,再婚相手と養子縁組した場合は,法的に扶養義務の対象となります。
結果的に,元夫・元妻での経済的状況のバランスがある程度変わった,という場合は,「適正な養育費の金額」も変わってきます。
このような事後的な事情の変更があった場合,養育費の変更が認められます(民法880条)。
元夫,元妻双方の最新の経済的状況を考慮し,養育費の変更を認めた裁判例がありますので示しておきます。

<元夫・元妻それぞれの再婚;養育費変更が認められた裁判例>
・東京家裁平成2年3月6日
養育費の合意;離婚後3年間は毎月20万円,以後3女が23歳になるまで毎月30万円
↓その「後」
元夫,元妻いずれも再婚した
3人の子供は,元妻の再婚相手と養子縁組した
↓養育費変更の調停・審判
裁判所の判断
「合意当時予想し,あるいは前提となし得なかった事情がある」
↓合意事項を修正
<修正後の内容>
月額21万円(1人あたり7万円)に減額
支払い終期を成年到達時と短縮
臨時の出費は養父が負担する

[民法]
(扶養に関する協議又は審判の変更又は取消し)
第八百八十条  扶養をすべき者若しくは扶養を受けるべき者の順序又は扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その協議又は審判の変更又は取消しをすることができる。

[平成 2年 3月 6日 東京家裁 平元(家)3673号 子の監護に関する処分(養育費減額)申立事件]
 2 当裁判所の判断
  (1) 本件調査・審理の結果によれば、以下の各事実を認めることができる。
   ア 申立人と相手方は、昭和47年1月4日婚姻し、両名間に、長女博子(昭和49年11月17日生)、二女明子(同54年3月17日生)及び三女典子(同57年5月30日生)(以下、3児全員について「未成年者ら」と称す。)が出生したが、双方間に不和を来したため、同61年9月3日、未成年者らの親権者を相手方と定めて協議離婚した。
   イ 申立人と相手方は、協議離婚に先立つ昭和61年7月29日、未成年者らの監護・養育に関し、本件公正証書において、前記申立の要旨中に掲記した第一条、第二条・一及び第二条・二のとおり合意した(以下、第二条・一及び第二条・二の両事項を指して「本件合意事項」という)。
   ウ その後、申立人は、昭和61年11月11日温子と、相手方も同63年2月5日有田とそれぞれ再婚し、又、有田においては、同年3月14日未成年者らとそれぞれ養子縁組をした。
   エ 申立人は、○○航空(株)のパイロットとして勤務しているが、相手方は、有田が経営する麻雀荘を手伝っているほか特に仕事にはついていない。
  (2) ところで、本件は、前記(1)イの如く、当事者双方が協議離婚するに際し、本件公正証書でもって合意した本件合意事項につき、同離婚後2年経過した時点である昭和63年9月1日に、当該合意事項に基づく養育費等の支払ないし負担義務を負う申立人よりなされたこれらの免除ないし減額申立であるが、本来、債務名義としての効力を有する書面でもってなされた約定については軽々にその変更がなされるべきでないことはもとよりのことである。しかし、当該合意がなされた当時予測ないし前提とされ得なかった事情の変更が生じた場合にこれを変更し得ることも、事情変更の原則ないし民法880条に基づき肯定されるべきである。
 これを本件でみるに、前記(1)ウで認定したような申立人及び相手方双方の再婚、未成年者らと有田との各養子縁組等の事実は、本件合意事項が交わされた当時、現実問題として当事者双方共予想しあるいは前提とし得なかったと解されるのである。しかして、このような事情に伴い、申立人及び相手方双方の側の収支を含む生活状況は、本件合意事項を交わした当時と比較して相当変化しているものと考えられるので、本件公正証書で成立した本件合意事項に基づく養育費の支払ないし負担義務を現在もそのまま申立人に負わせることは、これが今後も相当長期間にわたる継続的給付を内容とするものであることにも照らした場合、客観的に相当性を失した状況になっていることは否定し得ないものと解される。したがって、この点において事情の変更を来したものと考え、当該変更の程度に応じて、以下、本件合意事項の修正を図ることとする。
 なお、申立人の未成年者らに対する養育費の支払はいわゆる生活保持義務に基づくものであることに照らすと、これを全額免除することは当を得たものではなく、この点に関わる申立人の申立は容れ難いところである(但し、本件合意事項のうち、前記第二条・二については後述するとおりである。)。
  (3) 本件においては、前記の如き事情の変更に即し、相当と認められる養育費減額の範囲如何を検討するわけであるから、当事者双方の現在の収支及び生活状況を対照の上、本件事案に即し合理的と思料される生活保護基準方式に則り算出された額に基づき判断することとする。
   ア 本件記録中の当庁家庭裁判所調査官○○作成の調査報告書2通、申立人及び相手方各審問の結果並びにその余の資料によると、申立人及び相手方それぞれの側の収支を含む生活状況は、以下のとおりである。
 (ア) 申立人は、温子(無職)と2人で肩書住所地に居住しているところ、前記(1)エの如く、○○航空(株)にパイロットとして勤務し、平成元年中、結与として1976万2849円を得ており、これから源泉徴収税額454万4099円及び社会保険料等65万4963円を控除すると1456万3787円となり、同金額を12で除した121万3648円が平均手取り月収である。
 なお、申立人は、本件合意事項に基づく養育費の支払を同年5月以降遅滞させていたため、同年11月17日、相手方から、同遅滞分を含め未成年者らがそれぞれ満23歳に達する月までの養育費合計額等4460万4563円を請求債権として給料債権に対する差押えを受けた。これにより、申立人は、従前負担していた、住宅ローンその他の借受金の返済が不可能となったため、平成元年12月25日銀行から合計4500万円の融資を受け、同返済金の一部等に充てざるを得ない状況となった。しかして、上記4500万円に関わる返済額は月平均31万3333円、その他勤務先ないし友人に対するそれは合わせて13万5976円の合計44万9309円となるので(これらの返済額は、前者については平成3年以降、後者(友人の分も含めてよいと思われる)ついては同2年6月以降それぞれ見込まれているものであるが、未成年者らに対する各養育費の支払はこれからまだ相当長期にわたって行われなければならないので、本件減額の検討に当たっては、予め現時点でこれらを考慮に入れておくのを相当と解する。)、これを上記平均手取り月収121万3648円から控除すべきであり、さらにこのほか、マンション管理費月額1万1000円及び固定資産税等同6000円の合計1万7000円をも控除し、職業費として15パーセントを考慮した56万5292円が、本件養育費減額の範囲如何を検討する場合の申立人側の基礎収入と認められる。
 (イ) 相手方は、有田及び未成年者らと肩書住所地に居住しているところ、前記(1)エの如く、有田の経営する麻雀荘の手伝をしているだけで職にはついていないので固有の収入はなく、生活はもっぱら有田の収入によっている。有田は、麻雀荘の経営により、平成元年12月当時月平均手取り約50万4000円を得ているところ、これから、住居費15万2000円、自動車関係費1万7000円、生命保険等掛金8万1000円の合計25万円を控除した25万4000円が、本件養育費減額の範囲如何を検討する場合の相手方側の基礎収入となる(有田については、麻雀荘自営業者という立場に照らし、職業費は特に考慮しない。)。
 (ウ) 上記(ア)及び(イ)にしたがい、前掲生活保護基準方式に則り算定すると、申立人が未成年者1人につき負担すべき1か月当たりの養育費の額は、別紙算定式のとおり7万円となる。
 なお、前示のとおり、本件は昭和63年9月に申立られたものであるところ、本件合意事項中第二条・一によれば、昭和61年8月より同64年(平成元年)8月までの間申立人が相手方に対して支払を負担すべき養育費の額は、未成年者ら3子分として1か月当たり20万円であるが、同金額は上記算定に基づく1か月当たりの養育費合計額21万円の範囲に含まれるので、本件減額は、同第二条・一により1か月当たりのこれの合計額が30万円となる平成元年9月をもってその始期とし、その支払いの終期は、後記イで指摘すると同様未成年者らが有田と養子縁組をしていることに照らし、各自が各々成年に達する月までとするのがそれぞれ相当である。
   イ 既に認定したように、未成年者らはいずれも有田と養子縁組をしているので、未成年者らの入学、結婚、病気等の場合に必要とされる臨時出費の負担は、第一次的にはやはり、相手方と有田において考慮すべきが筋合いと解される。もとより、未成年者らの父である申立人もかかる費用の負担を全く免れるわけにはゆかない面があると解されるが、これらの費用が全て生活保持義務の範囲に含まれるとは解し難いことも考え合わせると、現時点においては、本件公正証書中の本件合意事項第二条・二に基づく申立人の義務は、これを免除しておくのが相当と思料するものである。
 3 以上の次第であるので、平成元年9月以降、申立人が相手方に対して支払を負担すべき未成年者らの養育費を、未成年者1人当たり毎月7万円あてに減額したうえ、その支払いの終期を各自がそれぞれ成年に達する月までとし、かつ、申立人が負うとされてきた未成年者らの入学、結婚、病気等による臨時出費の負担義務については、これを免除するのを相当と認めるものである。
 よって、平成元年9月以降、本件公正証書中の本件合意事項をその旨変更することとし、主文のとおり審判する。

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