母が認知,ってある?~代理母は未開の地~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

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大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q 母親が認知する,ってあるのですか。
  代理母の場合はどうなのですか。


認知シリーズの締めくくりです。
ちょっとマイナーなご質問を採用。
裁判官が叫んでいます。「裁判所困らせないでよ!国会の仕事でしょ!」と。

誤解ありがち度 5(5段階)
***↓説明↑***
1 一般の方でもご存じの方が多い
2 ↑↓
3 知らない新人弁護士も多い
4 ↑↓
5 知る人ぞ知る

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A 現在は「母」の認知は使われていません。
  代理母,も現時点では「分娩した母」を法的な母としています。
  結果的に「認知で確定」ということはありません。


【「母」の認知】
母親は「自分の子供かどうか」迷うことはないと思います。認知するということはあり得ないのでしょうか。

→母の認知,ということは通常あり得ません。

民法779条には「父又は母が」認知できる,と規定されています。
これについてはいくつか見解があります。
ごく例外的な,捨て子→後から猛烈に後悔→再会,といった場合は認知が必要かもしれない,という見解もあります。
しかし,判例では,自然分娩という事実があるのだから,認知しなくても,当然に母・子の関係は法的に親子関係が生じる,という認知不要説を取っています。
(最高裁判所昭和49年3月29日,最高裁判所昭和54年3月23日)

[民法]
(認知)
第七百七十九条  嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。

【代理母の場合の親子関係】
「代理母」の場合,分娩した母,と,生物的な母(卵子提供者)が異なります。
どちらが母になるのでしょうか。

→判例では,「分娩した母」が法的な母親となる,とされています。

生物学が先行して,法律の整備が遅れている分野です。
「代理母」か「卵子提供者」のどちらが「法律上の母」(戸籍上の母)になるか,争われた有名な裁判があります。
最高裁まで争われ,その結果,「分娩した母」が法律上の母となる,という結論になりました(判例後掲)。
最高裁としても,今までに迷うことがなかった,新たな問題であったため,対応に苦慮したようです。
「本来先に国会で決める(立法する)べきだ」というメッセージを添えているあたりで「悩み」が垣間見えます。

【最高裁判所第2小法廷平成18年(許)第47号市長村長の処分に対する不服申立て却下審判に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件平成19年3月23日(抜粋)】
子を懐胎し出産した女性とその子に係る卵子を提供した女性とが異なる場合についても,現行民法の解釈として,出生した子とその子を懐胎し出産した女性との間に出産により当然に母子関係が成立することとなるのかが問題となる。この点について検討すると,民法には,出生した子を懐胎,出産していない女性をもってその子の母とすべき趣旨をうかがわせる規定は見当たらず,このような場合における法律関係を定める規定がないことは,同法制定当時そのような事態が想定されなかったことによるものではあるが,前記のとおり実親子関係が公益及び子の福祉に深くかかわるものであり,一義的に明確な基準によって一律に決せられるべきであることにかんがみると,現行民法の解釈としては,出生した子を懐胎し出産した女性をその子の母と解さざるを得ず,その子を懐胎,出産していない女性との間には,その女性が卵子を提供した場合であっても,母子関係の成立を認めることはできない。
 もっとも,女性が自己の卵子により遺伝的なつながりのある子を持ちたいという強い気持ちから,本件のように自己以外の女性に自己の卵子を用いた生殖補助医療により子を懐胎し出産することを依頼し,これにより子が出生する,いわゆる代理出産が行われていることは公知の事実になっているといえる。このように,現実に代理出産という民法の想定していない事態が生じており,今後もそのような事態が引き続き生じ得ることが予想される以上,代理出産については法制度としてどう取り扱うかが改めて検討されるべき状況にある。この問題に関しては,医学的な観点からの問題,関係者間に生ずることが予想される問題,生まれてくる子の福祉などの諸問題につき,遺伝的なつながりのある子を持ちたいとする真しな希望及び他の女性に出産を依頼することについての社会一般の倫理的感情を踏まえて,医療法制,親子法制の両面にわたる検討が必要になると考えられ,立法による速やかな対応が強く望まれるところである。

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