親子のDNA型鑑定~調停だけでは終わらない~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

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大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q 嫡出否認の手続きは,訴訟か調停か,どっちをするべきですか。
  関係者が納得していればスグに終わるのですか。


認知シリーズの締めくくりに入ります!
実はラストは1つ残してあります。乞うご期待!

誤解ありがち度 3(5段階)
***↓説明↑***
1 一般の方でもご存じの方が多い
2 ↑↓
3 知らない新人弁護士も多い
4 ↑↓
5 知る人ぞ知る

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A 調停→DNA型鑑定→審判 となります。
  母の認知,というのは「ない」ことになっています。条文には書いてますが。


【調停前置主義】
嫡出否認などの裁判をする場合は,訴訟を申し立てて親子関係の証明をすることになるのですか。

→最初に調停を申し立てます。その後,審判となるのが通常です。

嫡出否認,親子関係不存在,認知に関する申立は,「人事に関する訴訟事件」に該当するので,(正式)訴訟の前に調停を申し立てることになっています(家事審判法17条,18条)。
これを「調停前置主義」と呼んでいます。

[家事審判法]
第十七条  家庭裁判所は、人事に関する訴訟事件その他一般に家庭に関する事件について調停を行う。但し、第九条第一項甲類に規定する審判事件については、この限りでない。

第十八条  前条の規定により調停を行うことができる事件について訴を提起しようとする者は、まず家庭裁判所に調停の申立をしなければならない。
○2  前項の事件について調停の申立をすることなく訴を提起した場合には、裁判所は、その事件を家庭裁判所の調停に付しなければならない。但し、裁判所が事件を調停に付することを適当でないと認めるときは、この限りでない。

【親子関係立証のためのDNA型鑑定】
嫡出否認などの調停で,当事者が合意すれば,調停成立となって完了するのですか。

→関係者全員が納得している場合でも,DNA型鑑定が必要となります。

嫡出否認,親子関係不存在確認,認知などの調停では,当事者が親子関係を認めるか認めないか,最初から意見が揃っていることがあります。
単に「誤った推定」を覆すという目的だけで調停申立をするというケースが多いのです。
では,申立人・相手方で親子関係の有無を確認して調停成立になりそうですが,家事調停(審判)ではそのようになりません。
客観的な裏付けで確認・証明する必要があるのです。
家事審判法23条で,「必要な事実を調査した上」で審判を行う,と規定されています。
これは,単に当事者の合意だけでは足りず,科学的調査が必要,という意味です。
親子関係など戸籍に関する事項は,万一当事者で結託して不正が行われると,「公的手当・扶助などの不正受給」ということに直結します。
そのため,当事者の意向だけで完了,ということはできないのです。
親子関係の確認の具体的方法としては,現在はDNA型鑑定が利用されています。
結局,手続きの流れは次のようになります。
<手続きの流れ>
調停→DNA型鑑定→審判

[家事審判法]
第二十三条  婚姻又は養子縁組の無効又は取消しに関する事件の調停委員会の調停において、当事者間に合意が成立し無効又は取消しの原因の有無について争いがない場合には、家庭裁判所は、必要な事実を調査した上、当該調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴き、正当と認めるときは、婚姻又は縁組の無効又は取消しに関し、当該合意に相当する審判をすることができる。
○2  前項の規定は、協議上の離婚若しくは離縁の無効若しくは取消し、認知、認知の無効若しくは取消し、民法第七百七十三条 の規定により父を定めること、嫡出否認又は身分関係の存否の確定に関する事件の調停委員会の調停について準用する。

【DNA型判定の方法】
親子の鑑定で,具体的に,採血などが必要なのでしょうか。

→通常,頬の内側(口の中)の角質をスプーン状のものですくい取るだけです。

現在は,科学的鑑定の方法が進化しています。
スプーン状のもので頬の内側を「すくい取る」程度で,必要な検体が採取されます。
痛いとか跡が残る,ということはありません。
母・子と,父(または父であることを否定する者)からそれぞれ検体を採取します。
それを分析・鑑定を行う機関に送付し具体的な分析・鑑定が行われます。
なお,検体採取過程で「人違い」が起きたら鑑定が大なしになります。
そこで,検体採取の時は,身分証明がしっかりと行われます。

【DNA型鑑定の費用】
DNAの鑑定は高額なのでしょうか。誰が負担するのでしょうか。

→通常は申立人が負担します。10~20万円程度が相場です。

以前はDNA型鑑定と言えば,ごく一部の刑事事件で用いられるという希少なものでした。また,「誤判定」も生じました。
(DNAは遺伝子内の塩基配列の整合性を比較するものなので,正確にはDNA「型」鑑定と呼ぶべきだと思います)
しかし,現在は,広く普及しており,費用も以前よりは低額化しています。
なお,民事裁判の一般的なルールとして,申し立てる方が費用を負担することになります。
家事調停(審判)では,裁判所が鑑定する業者に発注することになります。
費用だけ当事者(申立人)が負担するという形です。
ちなみに,私的に,ごく一般的にDNA型鑑定を行う場合,10万円前後が相場です。
裁判所用の鑑定の方が高いのです。
裁判所用の鑑定の場合,「鑑定書」というしっかりした書面を作るので,高くなるのです。

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