売買契約締結の後に,後悔しています。
手付も払っちゃいました。
キャンセルできないでしょうか。
できるとしていつまでキャンセルできますか。
売主側に何か不備があったということではありません。
大きな買い物なので,事前に慎重に考えるべきなのですが。
このようなことは結構よくあるようです。
誤解ありがち度 3(5段階)
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A 早いうちなら「手付解除」ができます。
状況を整理します。
まず,土地と建物の売買契約を締結したという前提でいきます。
いわゆる「建売住宅」や「中古住宅」ということです。「注文住宅」の場合また違ってきますのでこれは後ほど。
【手付解除,建売住宅・中古住宅編】
手付放棄による解除という方法があります。
「手付流し」と呼ぶこともあります。
前提として,手付が「解約手付」である必要があります。
売買契約書に「解約手付」と書いてあれば良いです。
なお,何も書いてない場合は解約手付として扱われる(推定される)ことになっています。
解約手付が支払われている場合は,買主は,これを放棄すれば契約の解除ができます。
ただし「当事者の一方が契約の履行に着手するまで」が手付放棄による解除の締切とされています(民法575条1項)。
【手付解除の締切】
→相手方(売主)が所有権移転登記・物件引渡や,その前提業務を行う時まで,です。
条文上,「当事者の一方が契約の履行に着手するまで」と規定されています(民法575条1項)。
不動産売買契約の売主の場合,「履行」とは,登記移転・物件引渡が典型例です。
(注文住宅の場合,建築工事も「履行」に入ってくるでしょうけど,これはまた後で)
この部分の解釈について,最高裁の判例があります(後掲)。
「履行」には,「欠くことのできない前提行為」も含むとされています。
簡単に言えば,「準備のうち,ある程度本格的なプロセス」に入っている場合は手付解除ができない,ということになります。
【最高裁判例】
昭和40年11月24日
「履行に着手する」=「客観的に外部から認識し得るような形で履行行為の一部をなし又は履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合を指すもの」
「当事者の一方が契約の履行に着手するまで」=「相手方が履行に着手するまでは」
→解除しようとする者が履行に着手していても,手付の放棄又は倍返しによって解除することができるという意味。
【建築工事は「履行の着手」?】
→履行の着手には該当しません。
原則として土地・完成した建物の引渡や登記の移転があるまでです。
建売住宅の場合,売主の履行すべき内容は「土地と,完成した建物の引渡し」です。
建築工事等は引き渡しのための準備行為ですらないので,履行の着手にはあたりません。
次に,注文住宅のケースに行きます。
【手付解除,注文住宅編】
→建物の請負契約を手付解除できるのは,建築工事の開始時点まで,と考えられます。
注文住宅(「売建て」ということもあります)の場合は,建物について,請負契約が締結されているはずです。
建物の建築請負契約について考えると,建築工事が「履行(の着手)」に該当します。
「建売住宅」(規格の設計に基づいた建物を「売買」する契約)とは違ってきますので注意が必要です。
さらに,ややこしい場合,に行きます。
【手付解除,注文住宅的な建売住宅】
建売住宅を購入し,いわゆる「オプション工事」を依頼したような場合です。
いつまで手付解除が可能でしょうか。
→オプション工事の内容によります。「個性が強い設計部分の工事」が進んでいると手付解除はできなくなるでしょう。
「オプション工事」があると,「建売住宅だけど注文住宅に近い性質を持つ」,ということになります。
オプション購入した機器の種類や設置工事の進捗状況,他の購入者等への汎用性等によって解釈されます。
簡単に言えば,「買主の要望により,個性の強い仕様にした」部分の工事が進んでいると,「履行の着手」ありとして手付解除が認められないことになりましょう。
別の見方をすると,「他の顧客に売却することが難しい」状態になっていれば,手付解除ができなくなる,ということです。
「履行の着手」の典型的な具体例としては,間仕切り等の「事後的に変更することが容易ではない」部分の工事が挙げられます。
既製品なのか,オーダー品なのか,微妙な例と言えば原発。
ふくいちの1~4号機はGE製造のマーク1。で,それを東電が買いました。
「マーク1」と言うと既製品みたいですが,配管部分はほぼオリヂナル。フクシマ用の個性の強い仕様。
どのくらいのオリヂナルさ加減かと言うと。
設計図をGEが書いたけど,そのとおりに作ると配管がぶつかる,という4次元設計図でした。
手付解除というか不完全履行による債務不履行解除ができたはず・・・とか言ってる場合ではなく。
工事遅滞の場合の違約金が1日で1億円レヴェルだったので,焦りまくって随時設計図修正しまくり。
・・・という 科学の歴史 に想いを馳せてしまいました。
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