担保として取っている建物に,賃借権の登記が入ったり,屋上に設置された物置に登記がされていたりします。
何か対抗措置を取るべきでしょうか。
これはえげつない!妨害の臭いプンプン!
誤解ありがち度 5(5段階)
***↓説明↑***
1 一般の方でもご存じの方が多い
2 ↑↓
3 知らない新人弁護士も多い
4 ↑↓
5 知る人ぞ知る
↓お陰様でランキング1位継続中!↓

にほんブログ村
↑文系弁護士のブログも見てみよう!↑
↑↑↑クリックをお願いします!↑↑↑
A 裁判所による保全処分や法務局で登記抹消をしてもらうなどの対処があります。
賃借権の登記について。
競売を申し立てるとともに売却のための保全処分を申し立てる,という方法があります。
競売手続開始後に目的不動産の価値を減少させるような行為があったときは,裁判所へ申し立てることにより,裁判所から価格減少行為の禁止等を命じる処分をしてもらうことができます。
賃借権の登記がされたこと自体は,「競売されれば抹消される無駄な抵抗」であるため,価格減少行為にはあたらないと言えます。
価格減少行為と言えるのは,第三者が占有するなど,不動産の使用が妨げられる状態まで達した場合です。
しかし,第三者が占有するのをただじっと待つしかないわけではないです。
次のような理論で占有移転禁止等の保全処分が認められることもあります。
「賃借権の登記がされた→近々賃借人に引き渡す予定があるのではないか→価格減少行為」
次。
抵当建物の屋上に設置された物置・その登記について。
ちょっとややこしいので順に。
物置にも抵当権の効力が及ぶのかどうか。
原則として,物置にも抵当権の効力が及びます。
抵当権の効力は,抵当不動産に付加して一体となっている物に及ぶとされています(民法370条)。この付加して一体となった物(「付加一体物」といいます。)の内容については争いがありますが,少なくとも「不動産に従として付合した物」(付合物,民法242条)は付加一体物とされています。
では,屋上の物置は付合物に当たのでしょうか。
付合物の要件として,必ずしも,建物と物置とが構造的に接合されている必要はありません。建物と物置の接着の程度,物置の構造及び利用方法を考察し,物置が建物と一体となって利用され,取引されるべき状態であるならば付合していると判断してよいでしょう。
物置が付合物であるならば,建物の付加一体物として,建物に設定された抵当権の効力が物置にも及ぶことになります。
しかし!です。
妨害をやろうとする者は上を行きます。屋上の上だけに。
ノーリアクションで進みます。
仮にまともな?妨害なら,こうくるはずです。
抵当建物の屋上の物置に,建物として第三者の所有名義で登記が入っている。
しかも抵当権の登記はされていない。
ハラハラしますね!
まさにアレです。(これから例えに入ります。理系過ぎる内容なので「戻ります」へのスキップを推奨)
通常,細胞分裂が起こると,核内のDNAはキレイにコピーされます。
しかし,ここに放射線が攻撃を加えると・・・ちょびっとならすさまじい修復システムで寸分違わず元に戻ります。
さらにしかし!強い放射線だと,「細胞は増えたけど,新しい方はDNA情報が違う。中身が違う」となるのです。
今回の物置,「建物は増殖したけど,コピーされるはずの抵当権が欠落している」という状態です。
これは放射線が2重らせんの2か所に攻撃を加えた例とそっくりです!!
話し,戻ります。
物置の登記。なぜ,同じはずの「所有者」「抵当権」がコピーされていないのか。
この謎を解き明かします。
ズバリ,分譲マンションのような「区分建物」として登記されたのでしょう。
物置が建物として登記されるためには,原則として,独立した建物としての用途に供することができることが必要です。建物の1部屋だけを建物として登記するには区分所有建物として登記することになりますが,今回の場合は,抵当建物と物置とを「一棟の建物」とする表示登記をし,かつ,抵当建物と物置とを区分建物とする登記がされたはずです。
「区分建物」の場合,抵当建物に設定されていた抵当権は,別の「区分建物」には効力が及びません。
つまり,元々の建物の抵当権は物置には及ばない形になります。
結局,物置の登記事項証明書には,抵当権の登記が記載されていなかったのでしょう。分譲マンションの101号室に抵当権を設定しても,その隣の102号室には抵当権の効力が及ばないのと同じです。
しかし,区分建物として登記するためには,物置が「構造上区分された,独立して居住,店舗,事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるもの」であることが必要です(区分所有法1条)。屋上に設置された物置が,そのような条件を満たしているとは到底思えません。妨害のための不正な登記です。登記官の職権による登記の抹消を求めるべきです。
Q(質問やテーマ提供)を募集しています!
↓のホームページから,相談と同じ要領でメールやフォームでお送り下さい。
ご質問者が特定されない形で,ブログ・ホームページのQ&Aコーナー等でトピックとして使わせていただくことを前提と致します。
PCのホームページ
モバイルのホームページ
↓お陰様でランキング1位継続中!↓

にほんブログ村
↑文系弁護士のブログも見てみよう!↑
↑↑↑クリックをお願いします!↑↑↑
震災関連法律相談Q&Aはこちら
震災特例法に基づく被災者(会社)の負担軽減策。税金の還付請求など。by国税庁
弁護士による不動産の法律相談
個別的ご相談等のお問い合わせは当事務所にご連絡下さい。
お問い合わせ・予約はこちら
↓お問い合わせ電話番号(土日含めて朝9時~夜10時受付)
03-5368-6030
050-5538-5030