デザインの2重譲渡~不安定原子核の分裂~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

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大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q 良いデザインのポスターがあったのでこれを買って,当社のパンフレットに使っています。
  後日,他社のカレンダーにこれと近いデザインが使われていました。
  何か言えないのでしょうか。

誤解ありがち度 4(5段階)
***↓説明↑***
1 一般の方でもご存じの方が多い
2 ↑↓
3 知らない新人弁護士も多い
4 ↑↓
5 知る人ぞ知る

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A 実際に真似があったのかどうか,によって違います。

1 他社のカレンダーのデザインが,御社の買ったデザインを真似したものの場合。
違法な「複製」になります。
御社の著作権を侵害しています。
損害賠償請求や使用の差止請求ができます。

2 たまたま似たデザインになった場合。
何ら違法ではありません。何も請求はできません。

理論的には単純!
でも実際,「真似」か「たまたま」か,難しいですよね。
いろんなケースで裁判まで行った例があります。
裁判例を見て研究していると,ホントいろいろあります。
図面が出ていて,ウマの違う点と同じ点を説明した準備書面(原告や被告が裁判所に出す書類)に書いてあったり。
ビンのラベルの光沢の度合いが論じられていたり。
デザイン(図案)の醸し出す「昔懐かしさ」があるorない でもめていたり。

最終的には総合的に判断します。
これも余りに広い事情を考慮するので一応基準はありますが。ややマニアックになるのでこれはまた別の話し。

次,行きます。

3 最初にデザインを作ったデザイナーが2重に販売していた場合。
「著作権譲渡の登録」を先にした方が優先です。
優先した方は,他方に対し,使用差止を請求できます。
著作権譲渡の登録は文化庁で行っています。
なお,当然,1番悪いのは2重に販売したデザイナーです。
使用できなくなった方の購入者は損賠賠償請求をすることが可能となります。
著作権は無体財産権,つまり,「物理的な物」があるわけではないので,簡単に複数に販売できてしまうのです。

ところで,「有体」の財産は2重譲渡(売却)できないのでしょうか。
できます。
簡単に言えば,契約書を取り交わしてお金を受け取るだけですから。
不動産でも動産でもあるんです。

そこで,2重になるのを防ぐシステムが作られています。
不動産→登記(法務局;民法177条)
自動車→登録(陸運局)
船舶→登記または登録

この流れで,著作権も登録システムを作ろう,となったわけです。

私も最初,民法でこの「2重譲渡」を知った時は一瞬悩みました。
これまた「不完全物権変動理論」ちう,こむずかしいネーミングなのです。
私の中では「不安定原子核」と勝手に呼んで覚えていました。
そこで,中性子を当てると不安定な原子核(U235など)がポワーンとはじけるように2つに分かれる,というイメーヂを当てて理解できました。
かたーい原子核でさえ2つに分かれるので,不動産も2つの行き先に分かれるんだ,と。

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