どのような形でリカバリーされるのでしょうか。
一般論としては,故意・過失に由来する場合は,加害者に損害賠償請求をします。
天災など,特定の者の責任ではない場合は,誰にも賠償請求できない,となります。
今回は,原発事故に由来する,放射能汚染による出荷制限・風評被害についてを前提として考えます。
損害賠償請求については民法に書いてあります(709条)。
ただし,原発事故の場合は,規模が大きい,つまり,被害者・被害額が膨大なることが想定されます。
そこで,原子力損害賠償法で,賠償請求のフローが決められています。
「紛争審査委員会」を結成し,そこで賠償支払いの有無・金額についての基準を定め,個々の被害について,この基準に従って賠償支払をしていくことになっています。
しかし,第1回の会合が先週開かれるようなスローペース。まだ枠組みを決めて行く段階。
スローと言ったのは,こんな理由からですよ。
農業・漁業を営む者で,原発から近いエリアの方は,現在,まったく作物・水産物を出荷できない状態になっています。
つまり,売上,言いかえると収入が一切ないのです。
中には,トラクター・漁船などの購入をローンで行っていて,債務返済の必要がある方も居てるのです。
目先の生活保障は死活問題です。
それを考えると,「これから枠組みを」とか言われるとハラハラします。
昨日20日から東電は100万円or75万円の仮払を実施することにした。
正確には請求用紙の配布を始めたのです。
どっちみち,農業・漁業のリスタートは当面はあり得ません。
農業→田畑が海水の塩を吸いまくっている→除塩が必要
(→いっそのこと,ソーラーパネルを置いて「電気の畑」にしちゃえばええ!というアイデアもあります)
漁業→船が壊れているし,港も壊れている。
(これらは東電の責任というわけではないあたりがまたややこしい・・・放射能汚染の土地は東電の責任となりましょうけど)
とにかく,まだまだハラハラは変わりません。
そこで助っ人が登場しました。
農業→JAグループ
漁業→農林中央金庫,信用漁業組合連合会
いずれも,つなぎ資金の提供,つまり無金利での融資等を検討しています。
こちらは公的資金ではないので,がんばってくれている!と思います。
本来の東電の補償は,紛争審査委員会の設定した基準に基づいて東電と協議していくことになります。
従前の例によると,東電が低い金額を提示して,被害者側と意向が合わず,紛糾することがあります。
訴訟で決着を付けることになるとさらに紛争は長期化します。
「紛争審査委員会」のネーミングが良くないなぁ,と思ったり。
最後に。
今回の震災後の復旧・復興で「かつてない」面があります。
地震後も被害が拡大しつつある,ということです。つまり原発事故の修復が「終結」していないばかりではなく「収束」すらしていないということです。
使用済み核燃料の処理を考えると「真の終息」は少なく見積もっても1万年後なのです。これはまた別の話し。
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