(な、なんでマリナまでいるんだ!)
カークは心の中で絶叫した。

マリナはしっかり厚着をしているが寒さに小さな体をさらに縮こめながら、それでも足取りは軽く楽しそうで、まるで遠足に行く子供のように見える。
(いくら日本より寒いからって、モコモコに着込んじゃって、着ぐるみみたいになってるぞ。でもなんだか可愛いなぁ…)
彼女らしい様子に、束の間カークがほっこりした気分になっていると、
「ここです!物陰にいる女性を見て下さい!!」
フランシスは短く叫んで画像を停止させた。
(物陰? …って、こここれは~っっ!!)

マリナの背後にいる人物に気付くなり、カークは再び心の中で絶叫した。
(これはアルディ家美人諜報員、マドモワゼルchanっ!!!)
ご存知ない方の為に説明しよう。
マドモワゼルchanとは、語学は堪能、かつシステムはプロフェッショナル、この世のあらゆる事象に精通した頭脳と美貌とを武器に、ハイヒールで世界を股に掛けて活躍する、精鋭ばかりが集められたジル直属の凄腕諜報員なのである。
正体を隠して日本国内に潜入し、普段は会社に勤務しながら『日本総アルディ計画(仮)』を密かに進めているが、年に数度は海外出張と称してジルによって召集され、ヨーロッパで極秘ミッションを行っていると聞いている。
その彼女がパリにいるということは…。
カークはゴクリと生唾を飲んだ。

