「百周年記念傑作選 短歌・俳句・詩」(月刊 文藝春秋 2022.01)を読んで | 松原湖高原☆風だより

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松原湖高原(八ヶ岳・東麓)からお送りする
四季折々の朝風

 

今朝は、昨日出たばかりの
 
「月刊文藝春秋」誌新年特別号からの
 
拾い読み。
 
 
 
 
巻末の「編集だより」によれば、
 
「今号は創刊100周年記念特別号の第一弾。
 
記念号は再来年2月号まで14冊続きます。」
 
とのこと。
 
今号は、記念号だけあって(?)、
 
格別分厚く、604頁もある。
 
 (注:ちなみに、11月号は396頁、
   12月号は412頁だった。
 
今号の目玉は、次のとおり。
 
★ 独占インタビュー トヨタ豊田章男(社長)
  すべての疑問に答える!
   聞き手は、新谷編集長
★ 緊急特集 天皇と日本人
   『愛子天皇は実現するか』など
   8本
★ 100周年記念企画 100年の
  100人
   夏目漱石はじめ歴史上の人物から
   現役の人物まで、著名人を採り上げて
   いる
 
 
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 
さて、以下、本論。
 
本記事で取り上げるのは、
 
上掲の特集や記念企画ではなく、
 
巻頭近くのエッセー集の中に
 
挿入されている囲み記事。
 
毎号掲載されていて、短歌、俳句、
 
詩の3本建てだ。
 
今号は、いつもと違って、
 
「百周年記念 傑作選」と
 
銘打っている。
 
 
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
 
 
以下、短歌と俳句のみを紹介する。
 
なお、注をふたつほど付けておく。
 
 
★ 短歌
 
 あこがれを追ひ詰めてゆくかたちにて草焼けば草の炎は赤し
 蚕豆(注)の花ゆれてゐしふるさともわが母も夢に見ることはなし
                 生方たつゑ
 
 あかあかと炎は立てり戦争も恋も政治も挑発として
 背振山地の起伏を移る夕日かげ人死して移る歴史とは何
                 佐佐木幸綱
 
 オンライン授業垣間見してみれば源氏が女を垣間見ており
 正しさが大暴落をする時代マスクの中に何か隠して
                 俵 万智 
 
 
★ 俳句
 
 野分して鶏人(注)の顔よろこばず
 鷹鳴いて深山の空小暇あり
                 飯田蛇笏
 
 年酒して旅の夫婦の埒もなし
 釣堀の著膨れ父子いつまでも
                 石田波郷
 
 ほとばしる湯殿山霊代(ゆどのたましろ)初景色
 肝っ玉おっかあたちや寝正月
                 金子兜太
 
 
  (注)
  ● 蚕豆(そらまめ/さんとう) そら豆のこと
  ● 鶏人(けいじん/にわとりびと) 中古、宮中で
     時刻を知らせた役人
 
 
  
 
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 
この囲み記事を記事にしようと思ったのは、
 
短歌の冒頭に生方たつゑが登場していたから。
 
彼女は三重県生まれだが、
 
わがふるさとに嫁いできて、
 
歌人として名を成し、そこに骨をうずめた。
 
 (注:下記<関連記事>を参照されたい。)
 
 
生方の作品を初めとして、どの作品も
 
筆者にとっては初見のものばかり(のようだ)。
 
少なくとも、記憶にはない。
 
 
これらの作品は、この100年の間に
 
本誌に掲載されたものの中から
 
編集部(?)が選んだもののようだ。
 
これらすべてが「傑作」と言えるのかどうか,
 
若干疑念がないわけではない。
 
なお、手元の『三省堂 名歌名句辞典』に
 
当たってみたところ、1首(句)も
 
載っていなかった。
 
恐らく、代表作とは言い難いようだ。
 
 
 
 
                     <以上>
 
 

 

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辛口はシャルドネゆづり冬の星

            

                   詠み人:樺風

 
 

 

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