(つづき)
Nさんの悩みは、直属の上司(=Aさん)の言い方がきついことでした。
Nさん:言っていることは正論なんですけど、その言い方が本当にきつくて……。
ある日、思い切ってやんわりと伝えたところ、上司が逆に落ち込んでしまい、「そんなこと言われたらもう会社に来れない」と言われてしまったそうです。
それ以来、Nさんは何も言えなくなり、ストレスを抱えていました。
過去世をリーディングすると、Aさん(中年の軍人)が戦地で呆然と立ち尽くしているヴィジョンが出てきました。周りは部下の死体だらけ…。
しかし、彼の胸にあったのは「部下を失った悲しみ」よりも「上から責められる」「自分のせいにされる」という恐れでした。
彼の立てた作戦は正しかったのですが、一部の兵士が勝手な判断で別のルートに進み、敵に見つかって全滅してしまったのです。
その勝手な判断をした兵士のひとりがNさんのようです。
部下の判断ミスが原因だったにもかかわらず、最終的には「上司である自分」が責められる。
その理不尽さに怒りを感じながらも、どうしよう、どうしよう――と、恐れと焦りの中で立ち尽くしていたのです。
まずはこの過去世を書き換えます。
Aさんは非常に緻密な作戦を立て、事前に部下たちにこう伝えました。
「この作戦は、一人でも勝手な行動をすれば、敵に察知されて全滅しかねない。だから慎重に、必ず指示通りに動くように」と。
その言葉どおり、誰一人として命を落とすことはなく、作戦は大成功を収め、彼はほっとして、「大切な部下たちが全員無事でよかった」と胸を撫で下ろします。
メモをとっていなかったのですが、確かこんなストーリーだったと思います。
ここで、ひとつ疑問が浮かびました。
なぜ彼は、「部下のミスも自分のせいにされる」と恐れ、防衛的な態度を取ってしまうようになったのか?
実はその感情こそ、長い転生の中で解放されずに何度も繰り返してきたテーマだったのです。
(つづく)