(つづき)
実は伝授前に「森の中に住んでいたときの過去世」を解放していました。
それはY子さんが、
「昔からスピリチュアルには興味があったけど、自分にはそんな能力がないと思っている」と言ったことが気になったのと、(これはみなさんがよく口にする言葉なので本来は気に留めないのですが、Y子さんの場合は過去世の影響からきているように思ったのです)
私が「ご自分の能力に気づくために今日いらっしゃったのではないですか?」と言ったことに対して、
「もし自分にそういう能力があるとわかったら、エゴが強くなりそう。私には力があるのよ! って」と言ったことが引っかかったからです。
伝授の前に解放しておいた方が良いと判断したのでした。
過去世の内容はこうです。
女の子は毎日大好きな森の中で遊んでいます。
彼女の周りには動物たちが集まり、森の木々や小鳥、小石、お花、空、彼女は万物と自由自在に語らうことができます。
母親もおばあちゃんも同じような霊能力があります。
そういう家系なのでしょう。
自然をこよなく愛する彼女にとって、森で過ごす時間は人生の一部でもありました。
彼女が10代後半になったころ。村の人々が、森の中に皆が集えるような広場を作ろうと言い出します。定期的に食べ物や飲み物を持ち寄り、森林浴をしながらわいわいと楽しい時間を過ごそうではないかと。
しかし、そのためには木を切り倒し、切り株で椅子を作ったり、テーブルを作ったりする必要があります。
皆はとても乗り気でしたが、彼女には、切り倒されるのではないかと怯える木々の気持ちや、今までの環境が変わってしまうのではないかと不安に思う小鳥や動物、お花たちの気持ちが伝わってきます。
それで、森に生息しているものたちが嫌がっているからやめてほしいと反対しますが、皆には彼女の視ている世界は視えないので、
「ふん、木々の気持ちがわかるなんて、なにわけのわからないことを言ってるんだ」と真っ向から否定してきます。
こうして村人たちは強引に森を切り開いてしまうのです。
木々たちの気持ちを代弁しても、聞く耳を持たない村人たちへの怒り、憤り。そして、こんな能力があっても何の役にも立たないじゃない! というやるせなさ。森の仲間たちの力になれなかった罪悪感。
Y子さんはそれらの感情を今世に持ち越してきているのです。
「わかります。私、木が切られるのが、すっごく悲しくて嫌でしょうがないんです」とY子さん。
解放のストーリーを視ます。
その村には、森の奥深くに住む魔女がいるという伝説があります。誰ひとりその魔女の姿を見た者はいません。
彼女と村人たちがお互い一歩も引かず、言い争いになっていたとき。どこからともなく小柄なおばあさんが現れます。とても穏やかな表情をしています。
なんだか人間離れしたような雰囲気がありますが、確かに姿形がある
ので、亡霊などではなさそうです。
このおばあさんは誰だ? 見たこともないぞ? と人々は驚きます。
そのうちに誰かが、「もしかしたらこの人が伝説の魔女じゃないか?」と言い出すと、皆が「そうだ、そうに違いない」と・・・。
魔女はニコニコしながら、
「さあさあ皆さん、これをお飲みなさい」
と、ガラス瓶に入った薄紫色の液体をひとりひとりの手のひらに数滴ずつ垂らしていきます。
皆がおそるおそる口に含むと・・・。
不思議なことに頭の周りにモアモアとした膜のようなものができて、森に住む生きとし生けるもの全ての声が聞こえてくるのです。
木々たちの考えていることも、動物たちの話している内容も、全ての意識が同時に膜を伝って流れ込んできます。
そう、それはまさに彼女が普段繋がっている世界そのものです。
人々は驚きます。なにしろ自然界の意識を初めて感じたのですから。
その様子を見たおばあさんが、「さあ、こちらへ」と皆を森の奥へ案内します。連れて行かれた場所は太陽の光が届かず、少し薄暗い雰囲気で、枯れかかった木々があります。
「この木たちはもう寿命がきているから、人間の手によって切り倒されることをむしろ望んでいる。ここに広場を作り、皆で集まり、光に満ちた空間にしてあげておくれ」
村人たちにも、それを歓迎している木々たちの「声」が感じ取れます。
彼女は自分が森で過ごすときは、ほぼ決まったエリアにしか行っていなかったので、まさか森の奥にそのような場所があるとは知りませんでした。
おばあさんの言葉を聞いて、森の世界も自然界の摂理で変転していること、生息しているものたちが個々にさまざまな思いを持っていることを改めて理解したのでした。
そして、一方的に正義を振りかざすのではなく、人間も森も互いの気持ちを汲み取りながら「調和」していくことこそが大切なのだと悟ったのでした。
その後、森には素敵な広場ができ、人々はその空間で楽しい時間を過ごすことができるようになりました。
おばあさんが皆の前に姿を現わすことは二度とありませんでした。
人々は次第におばあさんを見たことも、液体を舐めたときに自然界の声が聞こえたことも、「あれは幻だったのかもしれない、きっと夢でも見ていたんだろう」と思うようになりました。
このような書き換えのあと伝授に臨んだので、手が痛いということは、まだほかの過去世があるのかなと思っていたら、リーディングで現われたのは、さきほどの白い大狐でした。
両手で小箱を抱えています。
その中に金色の小さな鍵が入っています。
それをわざわざ届けにきてくれたようなのです。
どうやら彼女は最初のストーリーのとき、「自分のこんな能力なんて、何の役にも立たない」とむなしくなり、その能力(象徴で金色の鍵)を森の地中に埋めてしまったようなのです。
能力を手放してしまったので、今世で「自分にはそんな能力がない」と思っているのです。
狐は、「さあ、これを取り戻しなさい」と。
さて、どうやって取り戻せばいいのかな・・・・?
最初は私がその鍵をY子さんの松果体に入れようと試みたのですが、(なんだか違う)という気がします。
なんでかな・・・・
あ、そうか、Y子さんが自身で取り戻す必要があるんだわ!
閃いたイメージをY子さんに伝えます。
「今、その鍵を(Y子さんが)合掌している手の中に入れますから、ご自分の胸に手を当てて、その鍵をあなたのハートの中に入れてください。ハートの中心から光の放射が始まり、どんどん広がっていくイメージをしてください」
しばらく待っていると、
「できました。胸が温かくなりました」とY子さん。
ああ、これで能力が戻った、良かった。
伝授を再開しようと、再び頭頂に手を当てます。
が、
また痛い!
なんだろう、これは?
(つづく)
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