ツクツクボウシ | 怪談24時

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PN: 一生分のカルシウム 男性

これは僕が小学校3年生の時のお話です。

僕の家では夏休みに親戚一同、祖父の家に集まる習慣がありました。
祖父の家は某県の山の奥の集落で人口も100人に満たない過疎化が進んだ地域にありました。

その年の夏も祖父の家に集まり、年の近い従弟と一緒に山で虫取りや川で魚釣りをして楽しんでいました。

そして忘れもしません8月14日の事です。

僕は一人で近くの雑木林に行き虫を取っていました。
一生懸命色々な昆虫を取ってたのですが
頭上に大きなクヌギの木がありツクツクボウシが止まっていました。

捕まえようと思い
そーっと近づき虫網を振りました。

その時です。
音が聞こえない事に気が付いたのです。

それは聞いていた音楽が途中で止まった時のように歯切れが悪く

風の音、木々の擦れる音、煩いセミの鳴き声
環境音が全く聞こえなくなったのです。

おかしいと思い自分の太ももを叩いてみたのですが、やっぱり聞こえません。

怖くなったので捕まえたツクツクボウシを虫かごに入れ
家に帰る事にしました。

家に帰ると居間にお爺ちゃんがいたので
話しかけてみるとお爺ちゃんの声は普通に聞こえて話が出来たのです。

それに流れているTVの人間の声は聞こえるのですが
BGMなどの音は一切聞こえてきません。

お爺ちゃんと話が出来たので
今起こっていることを説明して病院に連れて行ってもらう事になりました。

病院で色々検査してもらったのですが
原因も分からず
とりあえず様子を見るという事で
家に帰る事になりました。

自分がとんでもない病気になったんじゃないかという不安感もあったのですが
そういう時って謎に優しくなったりとよく分からない感情になりませんか?

その時の私は寝室に虫かごを持っていき
今日捕まえた虫たちをボーっと眺めていました。

そして一人黄昏ていると、この虫たちは僕に捕まって
このままゲージの中で死んでいくんだなぁ~
と急に思い可哀そうになったので逃がしてあげることにしました。

近くの雑木林に戻り虫かごの中にいる蝶々やカブトムシ、先ほどのツクツクボウシを
逃がしてあげました。

ツクツクボウシを近くの木に置いた時です。

急に体に風が流れるような感覚になり
あたりが騒がしくなってきました。

音が戻ってきたのです。

先ほどまで人の声しか聞こえていなかったのに
いつも通り雑木林の様々な音が感じられます。

そこからはいつも通り聞こえるようになったと
家族に伝えて、なんだったんだろうね~とこの一件は終わりました。

大人になってこの話を思い出し
セミについてなんとなく調べてみました。

一説ではセミは仲間の声は聞こえるが
近くで大砲を打ってもなんの反応も示さなかったとのことで
仲間の声しか聞こえていないのではないかとの説もあるそうです。

関係あるかは正直分かりませんが
これが私の不思議だなぁと思った話です。