『イン・ユア・アイズ』(原題)感想。映画の新しい配給の形。 | まじさんの映画自由研究帳

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『アベンジャーズ』の監督ジョス・ウェドンの行動には目が離せない。今年4月に、N.Y.で開催されたトライベッカ映画祭で発表され、それと同時にネットで世界同時公開されたのが今作。動画サイトVimeoを介して$5で配信されている。

幾つかの言語の字幕もあり、日本語にも対応している。新しい映画の配給方法を模索する、実験的な試みだ。
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低予算のインディペンデント作品だが、とてもユニークな作品だ。東海岸に住む主婦レベッカと、ニューメキシコに住む前科者ディランの全く混じり合う事のない二人が、ある特殊能力で繋がるボーイ・ミーツ・ガールのストーリーだ。

そこに居ない相手と話すシチュエーションの中で、二人の演技を楽しめる作品に仕上がっている。前科者だが硬派のディランと、悪戯っぽいレベッカをとても魅力的に描いている。
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レベッカを演じるのは、エリア・カザンの孫ゾーイ・カザン。とてもキュートだ。

ディランが女性を自宅に招待している時に、遠く離れたレベッカがおせっかい焼くシーンはとても楽しい。二人のやりとりに、思わず笑って、ほっこり出来る映画である。

また、二人を取り巻く登場人物の描写も素晴らしい。レベッカと夫の関係もや、仮出所中のディランと監察官の関係も興味深い。登場するキャラクターたちの、関わり方も見所だ。特殊能力を得た二人が、お互いの視点に影響され、次第に価値観が変わってゆく姿をロマンチックに描いている。
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一見、自然の成り行きに任せた様に見えるシンプルな脚本だが、シチュエーションを利用した展開とキャラクターの魅力で、どんどん引き込まれてしまう。ジョス・ウェドンの脚本センスの良さが伺える。きっと、演じる俳優によっても作品の表情が変わる、演劇的な脚本だと思う。良い脚本のお手本になる作品だった。

インディペンデント映画は上映館も少なく、日本ではビデオスルーになる事も多々ある。いや、DVDすら発売されない事もしばしば…。そういう意味では、新作をこういった形での配給はありがたい。でもね。我々映画ファンは、スクリーンで観たいのですよ。ジョス・ウェドンさん。