『GODZILLA』(1998)感想。僕らは「僕らのゴジラ」を見たいんだ。 | まじさんの映画自由研究帳

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間もなくハリウッド版『GODZILLA』のリブートが公開されるので、1998年版『GODZILLA』の感想を書いてみた。

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さすがはローランド・エメリッヒ!
冒頭からの煽り方が素晴らしい。前半20分くらい、ぐいぐい引き込まれる。『ID4』でも見せた、巨大な円盤を見せる前に、それを見る人々の顔を見せるのは、スピルバーグが得意とする技法だが、エメリッヒは人だけでなく、景色にそれを持ち込むのがうまい。巨大な影に街が覆われる様は、これから起こる何かとてつもない事を予感させた。『GODZILLA』でも、漁師がうわ言のように「ゴジラ…ゴジラ…』と呟くシーンから始まり、N.Y.に上陸するまでの演出が素晴らしい。桟橋の魚釣りのシーンは勿論、主人公タトプロスが調査に呼ばれて、「ここで何を調査するんだ?」と叫んだ後、カメラが引いて「何か」の足跡の中にいた事がわかるシーンは最高だ!
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ゴジラの大きさを知る我々が、思わずニヤリとさせられる場面だ。そして、足音が鳴る度に、人や車が揺れる!近づく足音。高鳴る期待!そして、大きな音を上げながらビルが崩れて現れたのは…!!



あれ?…えっと…


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…どちら様?


オイラの知らない怪獣が現れたwww


なんだコイツ?
ただのデカイ恐竜じゃないか?
脚が妙に人間ぽくて気持ち悪いぞ。

ん?
そうか!きっと「僕らのゴジラ」がコイツを倒しに現れるんだね!
きっと、そうに違いない!

だって「僕らのゴジラ」は俊敏にミサイルを避けたりせず、当たっても「痛ェ!」くらいしか効かないし、ビルの影に隠れたりする卑怯な奴じゃないもん!ガム噛んでりゃアメリカ人かも知れないが、冷凍マグロ喰ってるヤツなんか「僕らのゴジラ」じゃないやい!
だがメリケンの人々は、ゴジラを騙る別の生き物をゴジラと呼んだ。いや、違うんだ!アレはただのイグアナだ!きっと「僕らのゴジラ」が、このイグアナを倒しにやって来るんだ!
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…だが、オイラの声も虚しく、遂に「僕らのゴジラ」は現れず、ましてや「こんな事もあろうかと思った科学者が作った凄いヤツ」の登場もないまま、イグアナは呆気なく米軍の平凡な武器で退治された。

巨大生物が出てくるまでの演出が良いだけに、出て来てからのガッカリ感は、その落差に大きなショックを受けた。

既存の武器でやられるような奴は、怪獣ではない。単なる害獣だ。山から降りてきたクマと何ら変わりがない。

デザインも酷い。当時の特報映像において、博物館のT-REXの化石を踏み潰すシーンがあった。


【動画】GODZILLA1998特報

ゴジラは恐竜なんかと違うんだよ、と、明らかに『ジュラシック・パーク』を挑発したものだった。しかし、蓋を開けてみれば、あのデザインは…ただの恐竜だった。
彼らのデザインは、生物学的観点から逸脱する事のない、つまらないデザインだ。T-REXと比べても、顔が小さくヒーロー性がない。単なるザコキャラのデザインでしかなかった。
そのデザインの責任は、怪獣映画を理解しないハリウッドの責任であると思っていた。

だが、後で知った話だが、エメリッヒは撮影前に来日し、東宝に「これが我々のGODZILLAデース!」と、初期デザインを見せていたらしい。
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東宝のスタッフは、唖然として言葉を失ったという。だが、エメリッヒは「何か気になる所があったら言って下サーイ。東宝サンが納得しないデザインはダメねー」と敬意を表したというのだ。
そこで、東宝から出した変更点は、たったの二つ。背ビレを二列から三列にする事と、逆関節だった脚を直す事を要求した。
おいおい、突っ込む所、そこじゃないでしょ!そこは東宝の意地を見せて欲しかった。生物学がどうこう言う奴にはゴジラの看板はやれぬ!くらいの事は言ってくれよぅ!
驚く事にエメリッヒ側は、東宝の要求を飲んで、その二点はしっかり直している。あのデザインで逆関節は、かなりのこだわりがあっての事だと思うのだが、彼らは東宝サンが言うならと、ちゃんと直したのだ!あの、妙になまめかしい、気持ちの悪い脚は、東宝の仕業だったのだ!
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だったら、シルエットを直せとか、直立させろとか要求していたら、彼らはそれを直したに違いないのだ。
つまり、あのイグアナをゴジラと認めた責任は、当時アレを看過した東宝にあったのだ!

それから6年後の2004年。我々は、東宝製作『ゴジラ FINAL WARS』の中で「僕らのゴジラ」が、このイグアナを瞬殺する姿を目撃する事になった…。 


【動画】ゴジラFinalWarsゴジラvsジラ

X星人を演じる北村一輝の名セリフが心に響く!

思えば「僕らのゴジラ」を観たのは、この映画が最後だった。

今度のハリウッド版リブート『GODZILLA』は、それ以来のゴジラ作品である。10年振りのゴジラはハリウッドからやって来るのだ。
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しかも、昨年、特撮ファンの夢の様な映画『パシフィック・リム』を配給したワーナー兄弟!
今回は、前回のような事がないようにして頂きたい。とりあえず、ゴジラのシルエットだけはOKだ。とても期待している。

だが、オイラの本音は、コレを機に東宝サンにも『ゴジラ』の新作を、ちゃんと日本で作って頂きたいと強く願っている。
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ゴジラの銅像。(東京都有楽町)



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