放映前には『原作版を完結させる!マジンガーZの続編なんて呼ぶんじゃない!』と高らかに宣言していた「真マジンガー 衝撃!Z編」。しかし、今や四苦八苦しているDVDセールスのため、むしろ積極的に消費者に錯誤させようとしているバンダイさん。アニメ誌のライターにクレームをつけて『マジンガーZ』という表現を取り下げさせた矜持はどこに行ってしまったんでしょうか・・・
この作品には、いたるところにマジンガーZ、および他の永井豪先生の作品から引用された部分があり、それだけで喜んでいるダイナミックオタク的な感想をたまに目にします。
しかし、その引用が効果的かというと・・・全く的外れで、何のため引用したのか、そもそも引用する必要があったのか不明なものばかりです。
例えばブロッケンの首でラグビーをするシーン。
例えば日本に出撃するあしゅらとブロッケンの首がアップになって高笑いするシーン。
例えばシローがフライパンが武器になるかなあと尋ねるシーン。
例えばあしゅらが独白するシーン。
コミック版マジンガーZやデビルマンを読んだことがある人にはおなじみのシーンです。しかし、この最低リメイクでは、オリジナルのコミックが与えてくれた感動や笑いを全く感じさせてくれません。なぜなんでしょうか?それは、監督、脚本家(=今川泰宏)が、オリジナルをきちんと理解していないからでしょう。
例えば、ブロッケンの首のシーンは、人質を取ったグロゴスとの息詰まる対決の中で描写されているからこそ、そのギャップが効いています。
例えば、デビルマンでタレちゃんがフライパンを握り締めるシーンは、牧村家がぐるっと取り囲まれ、逃げ場のない絶体絶命の緊迫感、そしてこれから起こるであろう惨劇を感じさせてくれる、効果的な描写なのです。
翻ってこのクソアニメを見てみると、全く前後関係、文脈を無視して、唐突に『これ出しときゃ満足なんでしょ?』的な安易で、視聴者をバカにした姿勢が透けてきて、非常に不快な気分になります。
要は、既存のシーンをうまくコラージュして効果を高めるための『引用』ではなく、時間稼ぎ、ウケ狙いの『使い回し』なんですよね
効果的に使えもしないシーンの挿入はやめた方がいいですよ、今川監督。底の浅さ、才能のなさがまるっとお見通し状態になってしまいますから。
それはそうと、カレンダーの図柄まで使いまわしなんですね。さすが。一貫した姿勢に感服です。