秘密基地の中の格納庫。モトコが巨大なロボットを見上げている。
白青赤のトリコロールカラーに塗り分けられた女性型のロボット。
ふふっと笑って伸びをする。
『それにしても、このわたしがロボットのパイロットだなんて・・・』
モトコは数ヶ月前を思い出していた。
白青赤のトリコロールカラーに塗り分けられた女性型のロボット。
ふふっと笑って伸びをする。
『それにしても、このわたしがロボットのパイロットだなんて・・・』
モトコは数ヶ月前を思い出していた。
人通りもまばらな平日の午後の表参道。
モトコはいろんなショップをのぞいては服のチェックをおこなっていた。
ファッショナブルな街でも一際目立つ彼女の職業はレースクィーン。
もともとメカが好きで、レーサーになるのが夢。
手っ取り早く資金を貯めるため、ルックスをいかして頑張っているのだ。
「もしもし」
ヒルズから通りに出たところで、ぱりっとした身なりの初老の紳士がモトコを呼び止める。
「はい?」
道を聞かれるのかな・・・と思った彼女に意外な一言が。
「あなた、メカの操縦に興味ありませんかな?」
「はぁ?」
「細かい話はこちらで。さあさあ・・・」
妙な人懐っこさと、物腰の柔らかさに押し切られるように、交差点手前のオープンカフェのテラスに腰を落ち着ける。
カプチーノとエスプレッソが運ばれてくる。
「あなた、レーサーになりたいそうですね」
エスプレッソを一口飲んだ後、おもむろに紳士が口を開く。
「えっ・・・どうして知ってるの?」
自分の夢はごく親しい友人にしか話していない。
「顔を見ればわかります」
もう一口。
「レーサーになるには時間がかかります。ライセンスを取得したり、スポンサーを見つけたり」
「ええ・・・」
モトコも18才。この年齢からレーサーを目指す厳しさは十分にわかっている。
「どうですか?もっと視野を広げてみては」
「どういうこと?」
「例えば、ロボットを操縦してみるとか」
「ロボット?」
「そう、ロボット。続きはわたしの研究所でお話しましょう」
紳士が指をパチンと鳴らすと、黒いスーツに身を包んだ運転手が現れ、二人をベンツの中にエスコートする。
広大な敷地の奥深く。まるでヨーロッパの貴族のような館に入る二人。
エレベーターで最上階まで上昇すると、そこはまるでロボットアニメに登場する、秘密基地のコントロールルームのようだった。
「すごい・・・」
「どうですか?お気に召しましたか?富士モトコさん」
「どうしてわたしの名前を・・・?」
「あなたのことはなんでも知っています」
紳士は柔和な微笑を浮かべて、驚くべきことを語りはじめた。
あるマッドサイエンティストが地球制服を企んで、悪のロボット軍団を組織していること。
それに対抗して、紳士が正義のスーパーロボットを完成させたこと。
そのロボットのパイロットをずっと探していたこと。
そして、昨日ついに最適な候補者を見つけたこと。
それがモトコであることを。
エレベーターで最上階まで上昇すると、そこはまるでロボットアニメに登場する、秘密基地のコントロールルームのようだった。
「すごい・・・」
「どうですか?お気に召しましたか?富士モトコさん」
「どうしてわたしの名前を・・・?」
「あなたのことはなんでも知っています」
紳士は柔和な微笑を浮かべて、驚くべきことを語りはじめた。
あるマッドサイエンティストが地球制服を企んで、悪のロボット軍団を組織していること。
それに対抗して、紳士が正義のスーパーロボットを完成させたこと。
そのロボットのパイロットをずっと探していたこと。
そして、昨日ついに最適な候補者を見つけたこと。
それがモトコであることを。
「アニメみたいで実感がわかないわ」
「無理もありません」
「で、なぜわたしなの?」
「あなたはわたしの経営している自動車メーカーのテストドライバー募集に応募しましたよね?」
「あっ・・・」
確かにモトコは日本最大の自動車メーカーのテストを先週受け、結果を待っている最中だった。
「その数値は驚くべきものでした。そして、あなたについて少々調査させていただきました」
「その結果は?」
「身体能力がずば抜けている上に学業成績も優秀。そしてレーサー志望。完璧です」
一呼吸置いて紳士が言う。
「どうですか。ぜひあなたにわれわれのロボットのパイロットになってもらいたいのです」
「どうって言われても・・・」
「戦いが終わったら、あなたをわれわれのF1チームのメインドライバーにお招きしたいと思います」
「わたしが・・・F1ドライバー?」
「はい。パイロットになっていただくには、訓練を受けてもらう必要があります。それを無事修了できたら・・・現在のF1ドライバーの誰よりも抜きん出たテクニックを身につけているはずです」
こうしてモトコはロボットのパイロットになったのだった。
「さて。今日も元気に訓練といきますか」
ロボットに乗り込むモトコ。
今日もハードなトレーニングメニューが彼女を待っているのだった。
【END】
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