富岡製糸場の普遍的価値と何か | 繭家の人生こぼれ繭

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人にも自然素材にも優劣なんかない。『こぼれ繭』と呼ばれていたものに目をかけて、愛情を持って「カタチ」のある製品にする。そこから生まれる「やさしさ」から「人やモノ」を思いやる心が生まれるのだと思います。

もう35年程前になりますが...こんにゃくゼリーで有名なあの蒟蒻畑のマンナンライフの会長さんに..当時はまだ私も二十歳そこそこで,マンナンライフの会長さんも33歳の若き社長さんで、当時は鶴田食品工業という会社で「食物繊維の素」という商品名で山之内製薬からダイエット食品で大ヒットでした。
お互い若かった頃の話です..「小島よ、付加価値って言葉知ってるか?私、初めて聞きました..知りません..明日までに調べて来いって言われましてね..」今は付加価値って言葉は誰もが知っておりますが...当時はまだ誰に聞いても知っている人はいませんでしたね。社長わかりませんでした謝りますと..社長がこんな例え話をしました「ここに綿と絹で出来た反物がある..どっちかくれるといったら小島はどっちを貰う..当然絹の反物です..。」たぶん100人中100人私と同じ答えをしますよね..「じゃあー小島に聞くが..今、ニューヨークで一番有名なデザイナーがつくった綿のTシャツがあったとする(当時はカルバンクラインが有名でした)。そして..誰がつくったわからないが絹のシャツがあったとしよう..どっちを選ぶ..私、即答でカルバンクラインのTシャツ..小島、それが付加価値っていうものだ..。」まだその時はこの話しを聞いても付加価値の本当の意味がぜんぜん理解できておりませんでした(^-^)/


話しは変わりますが..例えば富岡製糸場の普遍的価値って一体なんだろうか..ユネスコに提出する世界遺産推薦書にも富岡製糸場の普遍的価値とは何であるかを説明しなければなりません..ここが一番大事な本質である。

例え話です..
ここに椎野正兵衛商店のシルクスカーフがあるとする(上代30000円)、そしてもう一つ繭家の繭パフがあるとする(1個500円/30000円で60個分)...両方を机の上に並べて..欲しいのはどっち..ほとんどの人は椎野正兵衛商店のシルクスカーフの方を選ぶでしょうね..。それは本物の価値がわかるからでしょう。先日椎野さんが書いたギターの本(僕らが作ったギターの名器/文藝春秋)を読んでいて思ったことなんですが..バイオリンのストラディバリウスもしかり、椎野さんがつくったギターも同じことがいえると思うのですが...本物、より良きもの..はいつの世の時代でも引き継がれ、語り継がれていくものだということが..本物というものは何年何十年何百年経ってもびくともしない..そういうものだということがよくわかります。


横浜開港(1859年)の翌年に初代椎野正兵衛がつくったナイトガウンをみていると..本物のものづくりの凄さが伝わってきます..140年経った今でも燦然と輝いている。

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日本は山、海、河川、水の大自然に恵まれ,木々と咲き競う草花に満ちて、すみずみまで輝くばかりの 器量よしなのだ。この先に道を拓く知恵は、幕末から腰を上げて動き出した商人と職人、創業者の足跡、その踏んだ足の形に潜んでいる、かつてそこにあった土地の花形は今もそこにある...。
横浜開港当時、生絲売込だけで莫大な利益をあげた商人は数多くいたが、椎野正兵衛だけは違っていた、絹織物商として自らが企画・デザイン・製作したのである。日本初のメイド・イン・ジャパンが椎野正兵衛その人である。


答えが出て来たように思います..富岡製糸場の普遍的価値とはなんであろうか..本物のものづくりをすればいい..シンプルにそう思う。