水上繭子*表千家茶道・大人になったら始めたい いのち目覚める暮らし教室・植物療法ジェモセラピスト
NEW !
テーマ:

先月の植物時間のクラスで、朗読をした幸田文さんの『木』の一節です。

{F3E5954F-9EC8-4375-88C1-8CEA8B33795B}


木 (新潮文庫)木 (新潮文庫)
432円
Amazon


どういう切掛けから、草木に心を寄せるようになったのか、ときかれた。・・・袈裟、道の途中でみごとな柘榴の花に逢ったとか、今年はあらしに揉まれたので、公孫樹がきれいに染まらないとか、そういう些細な見たり聞いたりに感情が動き、時によると二日も三日も尾をひいて感情の余韻がのこる、そんなことだけなのだ。でも、そうした思いをもつ元は、幼い日に三つの事柄があったからだ、とおもう。

一つは環境だった。住んでいた土地に、いくらか草木があったこと。二つ目は、教えだろうか。とにかく親がそう仕向けてくれたこと。三つ目は、嫉妬心がバネになって木の姿花の姿が目に染みた。

・・・・・・・・・・

私は三人きょうだいが、めいめいに木を与えられていた。不公平がないように、同じ種類の木を1本ずつ、これは誰のと決めて飢えてあった。だから、蜜柑も三本、柿も三本、桜も椿も三本ずつあって、持ち主が決まっていた。持ち主は花も実も自由にしていいのだが、その代わり害虫を注意すること、施肥をしてもらうとき植木屋さんに礼をいっておじぎをすることなどなどを、いいつかっていた。

・・・・・・

父はまた、木の葉のあてっこをさせた。・・・姉はそれが得意だった。枯葉になって干からびていても、虫が巣にして筒のように巻き上げているのも、羽状複葉の一枚をとってきたのでも、難なく当ててしまう。まだ葉にひらいていない、かがまった芽でさえ、ぴたりとあてた。私もいくつか当てることができるのだが、干からびたのなどだされると、つかえてしまう。そこを横から姉が、さっと答えて、父を喜ばす。私はいい気持ちではなかった。姉のその高慢ちきがにくらしく、悔しかった。しかし、どうやっても私はかなわなかった。そんなにくやしがるなら、自分もしっかり覚えればいいものを、そこが性格だろうか、どこか締りがゆるいとみえて、不確かにずっこけた。ここが出来がいい子と出来の悪い子との、分かれ道だった。

出来のいい姉を、父は文句なくよろこんで、次々にもっと教えようとした。姉にはそれが理解できるらしかったが、私はそうはいかなかった。姉はいつも父と連れ立ち、妹はいつも置き去りにされ、でも仕方がないから、うしろから一人でついていく。嫉妬の寂しさがあった。一方はうまれつき聡いという恵まれた素質をもつ上に、教える人を喜ばせ、自分もたのしく和気あいあいのうちに進歩する。一方は鈍いという負い目をもつ上に、教える人をなげかせ、自分も楽しまず、ねたましさを味わう。まことに仕方のない成り行きである。環境も親のコーチも、草木への縁をもつ切掛けではあるが、姉への嫉妬がその切掛けをより強くしているのだから、少なからず気がさす。

しかし、姉は早世した。のちに父は追憶して、あれには植物学をさせてやるつもりだったのに、としばしば残念がってこぼしていたところを見ると、やはり相当の期待を持っていたことがわかるし、その子に死なれてしまって気の毒である。

出来が悪くても子は子である。姉がいなくなったあとも、父は私にも弟にも、花の話木の話をしてくれた。



私にも、草木の思い出はいろいろある。


うちの庭にあった姫リンゴの木に鳥がやってきたこと。


エレクトーンの帰り道に桑畑があって、妹とよく桑の実を摘んで食べたこと。


春になると紫大根の花があちこちに咲いて、お花畑みたいで大好きだったこと。




大人になってからは、義父が折々に花を贈ってくれた。


私たちの結婚記念に、自宅の庭に侘助を植えたと教えてくれた。


最初の結婚記念には蝋梅を贈ってくれた。


その時、初めて侘助も蝋梅も知った。私がお茶をやるので、そういう植物を選んでくれたのかもしれない。


義父母の家の庭には柚子の木もあって、自然食にこだわる面倒な嫁のために、「無農薬じゃ」と柚子を持ってきてくれた。


義父は亡くなり、その家も処分されて侘助も柚子の木ももうない。


その義父の息子である夫は、藤棚が大好きで、旅先で藤棚を見ると足を止めるし、駅に行くのに近所の藤棚の御宅の前を通るのを楽しみにしている。


うちには藤棚が作れるような立派な庭はなく、「いつか◯◯したら」と思っていたけれど、いつ来るのかわからない「いつか」を待つより、今できる範囲で、それをしたいと思うようになったのは、私も歳を取ったのかもしれない。


5人家族が団子のように過ごすことがなくなり、家で過ごす時間が限られてきたからかもしれない。


いま、小さな藤棚を、小さな庭に作ろうと思っている。


蝋梅も侘助も柚子の木も植えるつもりだ。


平成の終わりに、妃殿下美智子様がお好きな、小鳥や虫と共にある豊かで素朴なお庭を、私も作ってみよう。


小さな小さな、我が家の藤棚に藤の花が咲いたら、そこでのんびりお茶でものみたい。



次回の【植物時間】

しめ縄作り


新年への祈りを込めた

手作りのしめ縄でお正月を迎えませんか。

2018年12月21日(金)13時〜15時

下北沢 カフェ シンバル

8,000円

18時〜 豪徳寺クアドロフェリーチェにて忘年会


忘年会だけのご参加も受付けます😊


‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥


個人セッション・コンサル・カウンセリング
1時間  2万円 1万円 (年内予約は半額)

継続コンサル
3ヶ月5.5万円
6ヶ月11万円


スタイリストさんと水上繭子の
プチコンサル
(スタイル診断・お買い物同行・個人セッション・植物療法ジェモセラピー1本込)
10万円(税込)


スタイリストさんと水上繭子の
フルコンサル
(スタイル診断・お買い物同行
プロフィール写真撮影
アーユルヴェーダ体質診断・料理教室6回
個人セッションセッション
植物療法ジェモセラピー1本)
15万円(税込)


 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥


大人のための
いのち目覚める暮らし

 

【表千家茶道教室】

月曜日 11時〜21時
土曜日 10時30分〜14時


【ビジネス茶道】
12月18日(月)1830〜2100
無事の茶会
日本橋 コレド室町3 橋楽亭


 


【アーユルヴェーダ料理教室】


12月12日(水)10時30分〜14時00分

「おせち料理  体の味・心の味」


12月19日(水)10時30分〜14時00分

「ナッツパラダイス」




【植物療法ジェモセラピー講座】


ジェモセラピスト講座(全6回)

開催中