3年間続いた医療施設での料理クラスが3月で終了しました。スタッフの方たちやメンバーさんたちと一緒に調理をして、私もいつの間にか毎月お会いするのを楽しみにしていました。中には体調の悪い方もいらしたり、卒業されていく方もいらしたりで、二度とお会いすることもないのかもしれないその日を味わうクラスでした。
大人の方ばかりですが、親御さんと暮らす方が多く、普段は食事を自分で作らなかったり、お弁当で済ませている方が多かったように感じます。好奇心でちょっと自宅の台所に立ってみたくなるような簡単なメニューや、家族に提案してみたくなるような面白い組み合わせの味付けなどをご紹介するようにしていました。
医療施設なので、衛生関係には慎重で、キッチンの流しには「石鹸で指の間もよく洗い、〇分間の流水で流しましょう」というような張り紙があったり、消毒ポンプが置いてあったりしましたが、あえて、みなさんの真面目な気持ちを緩めたいと思い、「みなさんの常在菌を混ぜて食べると腸が元気になります」とお伝えして、水でよく洗っただけのみんなの手を入れてこねたパンや、素手で握ったおにぎりなどを作りました。ゆずやレモンを絞った時の香りを感じてもらい、お米を「研ぐ」と「洗う」の違いを感じていただき、シンプルな調味料(塩と醤油とオリーブオイル)で甘味や旨みを引き出しました。苦手で食べることのなかった食材が食べられるようになったという方もいました。
スタッフやメンバーさんの感想をお聞きしていると、カパタイプなのか、ヴァータタイプなのか、ピッタタイプなのかわかります。違う質の人が一緒にいることで、自分の質の良さをいかすことができるというお話もしました。
印象的だったことは、「月に1度のクラスだけれど、レシピを家の冷蔵庫に貼ったりして、次のクラスまでアーユルヴェーダのお話がいつもそばにあったことです。」と言ってくれたスタッフの方の言葉です。そう、アーユルヴェーダは、毎日の生活の中で自分の身体で感じてみることが大切なのです。知識やルールではない。「私のお腹はどうかな」「今日はどんなかな」と自分の身体と対話することなのです。心と身体のバランスを崩された方たちの施設でしたが、自分の身体との対話をずっと暮らしのそばに置いてくれたらと思っています。
心と身体のバランスを崩した方たちの生活自立訓練のための施設でした。就労のための施設に比べて生活訓練をする施設は少なく珍しいそうです。国の医療制度の事情もあるようですが、必要な方に必要な場所があって欲しいものです。連絡先を残してお別れしてきましたので、いつかまたどこかで再会できたらうれしいです。
2019年5月16日(木)18時30分〜20時30
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