少し前になりますが
Amazon Prime Videoでこちらを視聴しました。
『ロストケア』
※公式HPより抜粋※
早朝の民家で老人と訪問介護センターの所長の死体が発見された。捜査線上に浮かんだのは、センターで働く斯波宗典(松山ケンイチ)。だが、彼は介護家族に慕われる献身的な介護士だった。検事の大友秀美(長澤まさみ)は、斯波が勤めるその訪問介護センターが世話している老人の死亡率が異常に高く、彼が働き始めてからの自宅での死者が40人を超えることを突き止めた。
真実を明らかにするため、斯波と対峙する大友。すると斯波は、自分がしたことは『殺人』ではなく、『救い』だと主張した。その告白に戸惑う大友。彼は何故多くの老人を殺めたのか?そして彼が言う『救い』の真意とは何なのか?
被害者の家族を調査するうちに、社会的なサポートでは賄いきれない、介護家族の厳しい現実を知る大友。そして彼女は、法の正義のもと斯波の信念と向き合っていく。
最近、自分が介護問題に直面していることもあり、こういうテーマのものを目にすると、映像でも本でもつい手を伸ばしてしまうんですよね……ある意味病んでるかも?
以前にもアマプラで『PLAN 75』という映画を観ていて、それについて下記の記事でも少し触れています。
※映画の内容(ネタバレ有)とリンクして私の感想が暗く、不快感を与えるかもしれません。苦手な方はここでそっと閉じてください
私は、82歳・要介護2・独居の母のサポートをしており、母には認知症はないのですが、それでも(もともとの母娘関係が良好でないこともあって)キツイと思ってしまうことが多々あります。
そして、自分の心の狭さを自覚させられ自己嫌悪に陥る…という💧
なので、映画でも認知症の親を介護する側に感情移入してしまって、私とは比べ物にならないほどの介護の辛さ、過酷さに胸が痛みました。
私は、あんな大変な思いを我が子には絶対にさせたくないので、できれば自分で生活できないようになる前の段階で(誰かの手を借りないと生活できない状態になったら)、迷わず施設に入りたいです。
何なら、安楽死も選択肢になっている世の中になっていて欲しいとすら思ってしまいます…
そのためにはお金がないと解決できない…
お金って本当に大事です。
それに、身を助けるための知識や情報を得るスキルも本当に大事。
でも、それらは万人が持っているわけではなく
また、感情の問題や、受け入れ先がない、などで
親を施設に入れることができない状況もあるわけです。
本当に支援が必要な人や、これ以上どうすればいいのか分からないと途方にくれる、もう限界な人に対して救いが届かない
どう考えても生活保護を受けるしか方法がないのに、門前払いとか…このシーンには怒りすら覚えました
生活保護には思うところはありますが、こういう必要な人には適用して欲しいです
制度に穴がある…その社会の穴の底で生活せざるを得ない状況の壮絶さに、本当に辛く苦しくなりました。
大抵の人は、「絶対に越えてはいけない境界」は分かっていて、辛くても耐えて頑張っているのですが
限界を超えた時、ふと何かの拍子にあちら側へ転んでしまう可能性は誰にでもあるのかもしれない、と思わずにはいられませんでした。
犯人の斯波(松山ケンイチさん)と検事の大友(長澤まさみさん)が取り調べで対峙するシーンがあるんですけど ←とても見応えあり
検事が言うことが正義だし、正論なんですよ
なんですが
いわゆる 「安全地帯」にいる検事が言った正論は、私には綺麗事だと感じ、全く響かなかったです…
むしろ、犯人の言い分である「救い」の方が、響いててしまう部分があったのは、私が病んでいるのか…
遺族は、「病死」と思えるから「(正直、)ホッとした」と救われる部分はあったと思います
そう思うと、「殺人」と分かった時点で、「救い」ではなくなりますね
介護は綺麗事では済まないことも多いですし
「親子の絆」という美しい言葉に苦しむ人もいます。
「絆」ではなく「鎖」「呪縛」と感じてしまう人だっているし
介護が終わりを迎えた時に、「悲しい」気持ちより「ホッとした」「救われた」気持ちになることだって有り得るでしょう。
そしてそれらは一概に責められるこではないと思っています。
こう言うと「冷たい」とか「親不孝」とか「ひどい、人としてありえない」なんて責めるだけの人や、純粋に悲しみだけ感じられる人は……恵まれている人なんですよ…と思います
最初の方の
お金も身寄りもない老婆が、「人間らしい生活」を求めて刑務所に入るために万引きし、検事に訴えるシーンや、
ラストのシーンも、考えさせられるものがありました。
法では裁かれないけれど、罪悪感をずっと抱えて生きていくことが贖罪になるのかな…
テーマが重すぎて、後味の良い映画では決してないですが
これからますます高齢化・長寿化が進むであろう日本では、介護問題や老後の不安に直面するのは誰にでも起こり得る未来ですし
少子化・人手不足によって、どんどん深刻になる可能性が高いからこそ
多くの人に(特に政治家の方々にも)観て欲しい、そして考えて欲しい
そんな映画だと思いました。