原之内菊子は、新宿中央公園の近くの弁当屋の店員をしていた。

菊子の顔を見た者は、「自分語りが止まらなくなる」

という特殊な能力を持っていた。

そこに居合わせた、「三巴企画」の二人は、首になりかけていた菊子にスカウトをする。




桐谷俊は、先輩の戸部内三が大手出版社を辞めて三巴企画という会社を立ち上げて、同じように付いてきた。


会社としては、業績が上がらず、ことごとく企画に失敗して細々と小さな仕事をこなす赤字経営状態にも関わらず、菊子を入れてしまう。


社長の戸部は、おおらかでこてこての関西弁を喋る五十代のでか腹の太ちょなおじさん。


社員の桐谷は、文学青年で母親に頭が上がらない二十七歳の好青年。

(以前二人が勤めていた大手出版社で戸部が編集で出した本の内容が気に入っていたのがきっかけで入社)。


原之内菊子は、おたふく顔、小さい目、ふっくらとしたほっぺに、鼻はぺったんこ、おちょぼ口、まさしく「おたふくさん」

その物。

目を合わしてしまうと語られてしまうので、常に戸部から渡されたサングラスをかけている。


初インタビューから帰って来た菊子は、吐き気が止まらずにトイレに真っ先に向かう。


人の話を相づちもあまりなく、五、六時間もぶっ通しで聞くと、

正常な人でも倒れてしまうなぁと

このような特技は、

聞き上手というより、相手に自分語りをさせるには、良いが、

ある程度聞き出すと、すぐに目を逸らすタイミングを掴むことかなぁと思いました。


ヤクザの求人誌の依頼を受けて、取材に行くと、ヤクザの親分はお菓子作りが大好きで、

飲んでいる飲み物は、マッコリかな思うような白い物の正体が、なんと「低脂肪牛乳」だった

庭の生垣は、「金は貸すが借りない」という語呂合わせのカシの木、庭木にはカリンが植えられていた。


一見怖そうなヤクザの取材、

ケーキ作りがメインになり、気迫がほっこりに変わったなぁと思いましたが


このヤクザの取材で、大変な騒ぎがあり大事件に発展する。

会社に入られた泥棒騒ぎから、菊子が居なくなってしまう。


後々は、利益につながる。


二人は、菊子探しの列車の旅へ。



桐谷の姉が小さな時に亡くなった真実も分かり、


菊子の幼少の頃の過ごし方、祖母との関係が明らかになる。


聞き上手の菊子が、祖母に再会して、始めて「聴きて」から「語り手」になれたことが、

やっと菊子も救われたのではと、嬉しくなりました。


菊子と暮らしていた祖母がこんなに素晴らしく偉大な人だったとは、びっくりさせられました。



菊子の奥ゆかしくて、優しい性格、思わずにっこりしたくなるおたふく顔、

ぜひ会ってみたいなぁ。


菊子自身が特技(聞き上手)を、仕事しながら人を救うというポジティブな考え方になっていく様子があり


何より嬉しくなりました。