車椅子 de 推し活② 〜いざ、大阪へ!編〜 | めもり*ブログ

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ライター・きたのまゆみのブログです。
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いよいよ大阪旅、当日。

 

広島市役所近くのビル5階にある、社会福祉協議会の事務所へ。

ドキドキしながら訪ねると、すでに私の名前を書いた付箋が貼られた車椅子がスタンバイしていた。

簡単な申請書に記入して、いざ出発。

 

▼出発前の準備編はこちら▼

 

外に出ると、いつもより目線が低くて、見慣れた景色もちょっと違和感。

歩道から車道(横断歩道)に降りるところは傾斜がついていて、車椅子のスピードが上がってしまう。そして歩道と車道の間の段差が意外と大きくて、衝撃と揺れも大きい。怖っ!!

 

市電(広島電鉄)にはホームと車両の床が同じ高さの「低床車両」が増えていて、そういった車両には車椅子スペースが設けてある。近くのドアには、乗降用のプレートも内蔵されていて、車掌さんがサッと出してくれる。これはすごい。

 

▼黄色いのが乗降用のスロープ(プレート)。サッと出してくれた

▼扉下にプレートが収まっている

 

広島駅に着くと、再開発中のためか路面のアスファルトがゴツゴツで、めっちゃタイヤが取られる!路面の素材によってこんなに走りやすさが違うのかと驚く。

 

 

ふだん自分がしていること、したいことを車椅子でやろうとしたら、どんな違いがあるのか。それを検証することも今回の旅の目的のひとつなので、できるだけ「いつも通り」を心がける。

その一環で、新幹線乗車前に、改札脇のコンビニに寄ってみる。

店内は広々していて、出入り口に段差もないので非常に動きやすい。

 

問題は、高いところにある商品には手が届かないということだった…

本当はサンドイッチかおにぎりを買いたかったし、飲み物も麦茶がよかったけど、車椅子からは届かない。レジから離れた場所だったこともあり、わざわざ呼びに行って取ってもらうほどでもないので、諦めて手近なパンとほうじ茶を購入。プラス、ホットコーヒーを買うことに。

レジでは「コーヒー、大丈夫ですか?お手伝いしましょうか」と声をかけてもらったけど、大丈夫そうな気がしたので辞退。カップだけもらってサーバーのところへ行ったところで、抽出ボタンはギリ届くけど、フタが取れないことに気づいた。すると、心配して後から店員さんがついて来てくれていて、「フタ、お取りしますね」。ありがたい…。

 

▲店員さんが取ってくれて、笑顔で渡してくれたコーヒーのフタ。

新幹線の車椅子席は、11号車12・13番。車椅子を置けるようC席が撤去されている

 

車輪は両手で漕がないといけないため、お行儀悪いけど、コーヒーカップは脚の間に挟んで(ちょっと熱かった)GO。自動改札の間隔が広かったので、切符を通して難なく通過。シャーッと快適に進んでいたら(床がツルツルだからめっちゃ走りやすい)駅員さんが走って追いかけてきた。

 

「お客様…っ!スロープッ、スロープはっ!必要ありませんか?!」

 

切符を買ったとき、慣れている人ならスロープなしでも乗降できると聞いていたので、チャレンジしてみたいと思い「大丈夫です!」と元気に答えてみたものの。いざ入線してきた新幹線を見たら、思いのほか隙間と段差が大きく、一見しただけで無理だとわかった。

一旦降りて車椅子を押そうとしていたら、前にいたご婦人が手伝ってくれた(この方は降りるとき、畳んでいた車椅子を広げるのも手伝ってくださった)。天使かと思った。

 

 

乗車したらすぐ動き出す新幹線。ストッパーをかけないとキリモミ状態に車椅子が動いてしまう。

予約していた車椅子席は、11号車のいちばん東京方面寄り。私が乗り込んだのは、同じ車両の博多寄り。「エレベーター降りたらすぐが11号車なので、そこでお待ちください」って駅員さん言ってたのに…。仕方ないのでユラユラしながら移動しようとしたら、なんと。座席間の通路は狭くて車椅子が通れないではないか。まぢか…。

まったく歩けないわけではないけど、揺れる車内を歩くのは、けっこう怖い。

車椅子を押してくれるという方がいたのでお願いして、ハラハラドキドキしながら、生まれたての子鹿のような足取りで車両の中を移動。

可笑しくも恐縮したのは、私が横を通ると、席に座っている人たちがみんな申し訳なさそうに小さく会釈してくれたこと。みんな何も悪くないのに。頑張れ、って応援してくれてたのかな。優しい世界だなと思った。

 

 

どうにか席についたあとは快適な旅で、あっという間に新大阪に到着。

降りる時はホームの方が少し低いから、勢いをつければ自力で降りられるのではないか?と思ってチャレンジしたところ…。

前輪(小さい)がまんまと隙間に挟まって、前のめりに転けそうになった。

乗車待ちをしていた見知らぬ方々に「大丈夫ですかっっ!?!?」と助けられ、恥ずかしいやら申し訳ないやらありがたいやら…。無理をすると、人様に余計な心配と迷惑をかけることを学んだ。帰りはスロープをお願いしよう(決意)。

 

新大阪の改札まで友人(通称:ハイジ。私はクララ←この日命名された)が迎えに来てくれ、そこからはずっと介助してもらったので楽々。

しかし。市中移動の問題点は、多々あった。

地下鉄のホームは、エレベーターがあるのは必ず端っこ。地上につながるエレベーターも少ないから、「この出口を出たらすぐなのに」という場合でもずっと遠くまで行かなければいけなかったりする。

逆に、地上から地下鉄の駅を目指した場合、どこにエレベーターがあるかわからない。(Googleマップには経路検索オプションで「車椅子対応」という項目があるんだが、たまに「絶対これ車椅子対応じゃないよね」っていうルートや交通手段が出てくるので、個人的には信用できないと思っている…)

 

コンサート会場の最寄り駅でも、会場にいちばん近い出口には階段とエスカレーターしかなかった。

エスカレーター下にインターホンがあったので問い合わせてみたけれど、手伝いに来てくれるわけではなく「ずっと右に行ったら◯番出口にエレベーターがあるので」と教えてくれるだけだった。結局遠回りするしかないのか。ガッカリ。

今回は友人2人が一緒だったので車椅子を運んでもらうよう頼んで、一緒にエスカレーターで上がったけど、駅に着くたび遠回りを繰り返さなきゃいけないって面倒だし、地味にストレスだな。どこに行くにも毎回こんなだったら、出かける気なくすわ…

 

ともあれ。

コンサート会場に到着。

2階に上がってホールの入り口に差し掛かると、スーツ姿のスタッフがスッと歩み寄り「事前にご連絡をいただいたお客様でしょうか。北野様でよろしいですか」と声をかけてくれた。

車椅子の脇にひざまづいて、席番号を確認し、車椅子席利用の有無、グッズ購入の希望はあるか、終演後はすぐ出たいか人並みが落ち着くまで待つかなど聞いてくれて、エレベーターで自席までエスコートしてくれた。途中、多目的トイレの場所も教えてくれて、寄らなくていいかも確認。自席に着くと「では終演後にお迎えに参ります」と車椅子を預かってくれた。

 

席までの道中で「劇場の構造上、ボックス席はいちばん音響が良いお席なんです。良いお席を取られましたね」とニッコリ。席は抽選なので自分で選んだわけではないけど、そんな風に言ってもらえたら、なんか嬉しい。

 

終演後は速やかにお迎えに来てくれて、人混みの中もスムーズに誘導してくれた。途中、トイレは大丈夫か、どちら方面へ出たいかなど確認してくれて、会場外のエレベーターまで案内し「ご来場ありがとうございました。お気をつけてお帰りくださいませ」。

まさに神対応。ありがとうフェスティバルホール。

 

劇場スタッフの対応は完璧すぎたんだけど、1階下(ロビー)のトイレは、奥の多目的トイレに行こうと思ったら通路にものがあって通れず…ぐるっと反対側に回らなければいけなかったのが残念。

 

 

軽く晩ごはんを食べ、「心配だからホテルまで送る」というハイジ(私としては彼女が終電を逃すことの方が心配)と大阪駅でバイバイ。

大好きな友人たちと久しぶりに会うことができ、トラブルなく最高なコンサートを堪能することができて、本当に来て良かったと思った。

ハイジ&サツキちゃん、車椅子でデーンとしている私のもとへ会いに来てくれたお友だちのみんな、ありがとう💙

 

 

この後、Googleマップによれば徒歩11分のホテルまでの道のりが、泣きそうになるほど波瀾万丈であることは、この時はまだ知る由もなかった…。

 

③〜ひとり旅編〜へつづく。