久しぶり、2階のおばちゃんです。
今回は長いで~。気合い入れて読んでや。
むか~し昔、1996年公開の「Barb Wire」(バーブ ワイヤ)ってタイトルの
アクション映画があってんけどな。
主演が当時ブロンドボムシェルの仲間入りやったパメラ アンダーソン(Pamera Anderson)さんやって、まあ、お兄ちゃん、おっちゃん、おっさん、おじんが
喜ぶような内容の映画やってん。
名セリフ「Don’t call me babe.」とともにブロンドボムシェルのアンダーソンさんだけが写ってて他の共演者の俳優陣は邪魔もの扱いで消されてるようなポスターが
ロンドンのチューブステーション(Tube station – 地下鉄)にデカデカと
貼られててん。
因みに「Barb Wire」ってのはアンダーソンさんが演じてる主人公の名前で、
ブロンドボムシェル(Blonde bombshell)ってのは、金髪のセクシーな女性のことを指すねん(マリリン モンローさんとかな)。
「Don’t call me babe.」の「babe」は、あの有名な子供向け動物映画のブヒブヒ
鼻鳴らしてる子の名前「ベイブ」を指して「私のこと、こぶたちゃんって
呼んでんじゃねーよ」って言ってるんとちゃうで。
この場合、「『よう、かわいいねえちゃん,、ピーピー(指笛の音)』って
呼んでんじゃねーよ」って言ったはんねん。
このポスターにある日、落書きがされててん。「BABE」の横に「CALL ME BIMBO.」って黒のマジックで書かれてて、その書き方が下のフォントみたいな
感じやって↓「こっちのほうがフォントかっこええやん」って関心したんを今でも
覚えてんねん。
「Bimbo」ってのは、ルックスはええけど頭ん中空っぽのバカな女って軽蔑の意味
やねん。そやから、そのポスターは「私のこと『よう、かわいいねえちゃん、
ピーピー(指笛の音)』って呼んでんじゃねーよ、パッパラパーって呼びな」って
言ったはることになるわ。
それにしてもあれやね、なんで女性のファイターは半分裸みたいなカッコして
10cmくらいある動きにくいハイヒールはいてんねんやろね。殴る、蹴る、物を
投げつける、銃で撃ちまくるっていう攻撃を受けてんのに、それやとあかんやろ。
モモレンジャーくらいの戦闘用フルボディスーツで大事なお顔もばっちり
保護くらいせんとあかんのちゃう?
あの「ふ~じこちゃ~ん」やって、おばちゃんが知ってる昭和のTVシリーズの
ころの不二子ちゃんの仕事着は、ちゃんとフルボディスーツやったで。
なんか前置き長なったけど、今回はアーバンアートについて書くわ。
アーバンアートって言うんは、グラフィティ、ストリート アート、ミューラル
他ようわからんようなもんまでひっくるめて総称して言うねん。
グラフィティ: 昔はライター(Writer)って呼ぶことが多かってんけど、今では
そんなに言わへんかもしれへんわ。マジックやカラースプレーとか使って
モノグラム(文字や記号を組み合わせたもん)やタグ(ペンネーム)を書いたもんやわ。ヒップホップとは切っても切れへん関係やね。
ストリートアート: 建物の壁や天井、舗道など、とにかく路上いたるとこで作成し展示されてるあらゆるタイプのアートやわ。いろんなメディウム(Medium構成要素)使ったはるわ。
ミューラル: 壁画。建物の壁や天井に描かれたペインティング。
装飾的な意味もあるで。いろんなメディウム(Medium構成要素)使ったはるわ。
他ようわからんようなもん: 人物A「なんやあそこ角まがったとこに変なもん
置いてあるけど、粗大ごみやろか?」
人物B「私もそー思てんけど、○○さんとこが作らはったもんらしいで。
うまいことできたから近所にお披露目したはるらしいわ。」って感じのもん。
アーバンアートって、反社会的なもんやギャング文化とつながってるイメージを
持たれることが多いし、歴史的な建物や公共物、個人の所有物などに違法で
落書きしたり損傷したりする行為として捉えられたりするやん。だいぶ前やけど
日本も神社やお寺、歴史的な建造物などに海外の観光客が落書きして問題になったりしたやん。特にグラフィティはね、どうしても印象悪いイメージが強いねん。
グラフィティとかが目につく地域に引っ越すとなったら治安が心配になるわ。
現にそういう地域は犯罪率がたこなるし、道もゴミが増える傾向にあるし、土地の
価値も下がるし、いつ自分の家の壁に落書きされるかヒヤヒヤするし、落書き
されたら早よ消さへんと強盗に狙われやすなるし。個人で落書き消すんは大変やから業者呼んだら結構たこつくねん。3回壁に落書きされて消すのに9000ポンド
(約175万円)も使ったって人の記事が出てたわ。2024年今年の話やで。
21世紀の現代でも、そういう心配と恐怖を感じさせてくれる部分がある存在でも
あんねんけど、同時にアートとしての価値が認識されてきてんのも事実やねん。
アーバンアートの歴史ってなると、まだ人類に「文字」がなかった先史時代
あたりの、洞窟に狩猟の場面を描いたり手形をつけたりしてた時代のな、それこそ
フランスのラスコー洞窟の壁画あたりから始めなあかんようになって、この歴史の
話が先に終わるか、おばちゃんの寿命が先に終わるかの問題になりそうやから、
やめとくわ。
ってことで、原始人の時代から20世紀まで一気に話をスっ飛ばして
カっ飛ばしてくで。
現代のアーバンアートはどっから始まったか言うたら諸説あるんやけど、
1970年代のアメリカからってのが多い気がするわ。(20~30年代とか60年代やって言う人もいんねんけどね)
特にグラフィティってヒップホップと関連性あるやん、で、ヒップホップの起源
いうたら1970 年代のニューヨークのブロンクス地区って言われてるから、まあ、
70年代やってことにしとこ。
ここからは70~80年代のニューヨーク(一部パリ)を舞台にザっと歴史を探ってくわ。
最初はグラフィティから始まってな、ニューヨークのTAKI 183 (タグ名)から
始まったって言う人と60年代のフィラデルフィアの CORNBREAD (タグ名)から
始まったって言う人もいるんやけどね、まあ、どっちも若い子が自分のタグを
考えて、そのタグを建物の壁やいろんな公共物に許可とらんと違法でマジックで
描いたってことやねん。
できるだけ多くの人の目につく場所や物に自分のタグを描いて有名になることが
目的やってな、すぐに他の若い子らが真似して広めていってん。最初は単色で
描いてたもんがそのうちカラースプレーを使うようになって2,3色で丸っぽい
泡のような文字(バブル)を描く「スローアップス」(throwups)っていうスタイルが出てきて、その後80年代にはワイルドスタイル(Wildstyle)っていう明るい色目と
複雑で絡み合ってていがんだ立体的な文字が人気になんねん。
80年代はアーバンアートが一気に盛り上がった感じやわ。ストリートアートや
ミューラルも注目されるようになるしね。80年代に入るとグラフィティは、地下鉄やバスや電車の車両の側面に描かれることが急激に増えてくんやけど、電車とか
バスって市内を走ってくれるから壁に描いたもんより、より多くの人の目に
留まるわけやん。とにかく自分のタグが多くの人に認識されて自分を表現すんのに打ってつけやってことで標的にされたってわけやねんけど、描くのに時間が
かかるから警察に捕まるリスクもたこなってん。
そのころにはただ単に名声を得たいとか有名になりたいだけとちごて、黒人
コミュニティやサブカルチャー(少数派のコミュニティ)が社会的に軽視されたり
無視されてることに対する抵抗や抗議という意味もあって、弱者の声やってん。
スローアップス ワイルドスタイル
Image credit: BSCI inc. Courtesy of S.KAPE289, https://blog.molotow.com
なんて書いてるか一目ではかわらへんやろ?わざと読みにくくしてんねん。
「部外者にはアクセスしにくい秘密の社会やと強調したいから」とか、
「グラフィティは秘密の暗号やから」とか言われてるわ。
読みにくいと「なんか知らんけど、あるわ」で、薄っぺっらい認識で
終わりそうやけどな。
70年代のニューヨークのグラフィティに影響受けて自分もやりたいってなった
フランス人のブレック ル ラット(Blek le Rat)さんのステンシル(Stencil)で描いた
作品も80年代のパリで出てきてな、彼の場合はタグというより「ネズミの絵」が
トレードマークみたいになってるわ。何でネズミなんか言うたら、自分らみたいな
活動してる人間にとっては理想的なシンボルで、捕獲や撲滅を逃れるために暗闇に
隠れて活動するとこが似てんねんってことやわ。
「パリでステンシルとスプレーを使って小さなネズミを描き始めたんは、ネズミって都市に住む唯一の野生動物やってことと、人類が消えて絶滅しても生き残るんは
ネズミだけやってことやねん」って答えてはるけど、おばちゃん違うと思うわ。
人類が消えて絶滅しても生き残るんはネズミじゃなくて、Gやろ。
80年代ストリートアート言うたら、あの人も忘れたらあかんね。キース へリング(Keith Haring)さん、有名やね。
彼のキャリアは地下鉄内の広告を貼る黒いバックボードに白いチョークで作品を
描いたとこから始まったんやったね。ものすごい数の作品を描いてたらしいわ。
地下鉄を利用する人らから瞬く間に人気が出て、82年にはニューヨークのソーホーのアートギャラリーでソロエキシビションを開いて大好評、その上、サンパウロ
ビエンナーレやホイットニー ビエンナーレといった国際的な展覧会にも参加して
コンテンポラリーアーティストとしての地位に一気に昇らはったって感じやわ。
86年には旧西ドイツ側のベルリンの壁に作品を描き、自分の店Pop Shopを
オープンして作品が多くの人の手に渡るよう安値で売ってたもんやから、アート界の多くの人らから批判を浴びはってん。人気者で作品の需要があったしな。
安値で売られたらギャラリーやオークションで高値で売れへんようになるし、作品の価値が下がるってことやわ。
「数点作品を作って値段をつり上げたら、そらもっと稼げるけど、この店は、
かつて自分が地下鉄の駅でやってたことの延長線上にあるってだけで、ハイアート(社会的に高く位置付けされてる作品)とローアート(大衆向け娯楽作品)の垣根を
取り払ったもんやねん」って説明したはるわ。
80年代終わり以降は、一気にストリートアートやミューラルが主流になって、次々に新しい技術やメディウムを作品に取り入れるようになって変化していくねん。
そんなストリートアートやミューラルは政治や社会の問題を取り上げ主張するもん
やったり、戦争や差別について考えさせられるもんやったり、シンプルに美学を
追求した綺麗で魅力的なもんやったり、相変わらず違法でやってるもんが
多かったんやけど、企業の広告やブランディング(Branding ブランドの価値を
高める戦略)用に依頼されて合法で描いてるもんも増えてくねん。
アートギャラリーで展示されるアート作品と変わらへん価値を生み出していって
国際的な評価を得るようにもなってくわ。
要はアーバンアートが益々商業的なもんになり始めたんがこの頃からやって
ことやわ。
こうやって読むと華々しいアーバンアートの話のように思うけど、その裏には何度もニューヨークの行政との闘いが繰り広げられててん。特に 1977~1989年まで
ニューヨーク市長やったエド コッチ(Edward Irving Koch)さんが就任後すぐに
大規模なアーバンアート撲滅運動をやり出さはってエド コッチさんが市長を
やめるまで続いてんけど、最終的に落書きだらけやった地下鉄の電車が
ほぼ無くなって綺麗になったからね。路上に描かれたアーバンアートもぎょうさん
撤去されてん。でも撲滅にまでは至らんかったわ。
1989年の市長選ではヒップホップ好きの若い子らや撲滅運動に反対してきた人らが一斉にエド コッチさんが再選せーへんよう、今度はコッチ撲滅運動を
展開しはってん。ヒップホップグループ「A Tribe Called Quest」の曲で
「Can I Kick It?」ってのがあって、ようMTVとかで流れてたわ。ほんまに当時は
耳にたこができるくらい聴かされててん。ルー リード(Lou Reed)さんの
「Walk On The Wild Side」って曲のベースラインを取り入れた曲でめっちゃ
人気やって、そうとうな利益(印税)を得たはずやねん。そやけどその結構な利益は
全部リードさんが取ってかはってA Tribe Called Questには一銭も入らへん
かってん。リードさんが自分の曲使うんやったら、利益は全部もらうって言う
条件やってんて。
「Can I Kick It?」 by A Tribe Called Quest
https://youtu.be/crpRvkYzrtE?si=IN1P63oOnetxK8MN
この曲1990年リリースやねんけどレコーディングしたのは1989年やねん。
この曲の歌詞で「Mr. Dinkins, would you please be my mayor? You’d be doing us a really big favor.」(おばちゃん訳:ディンキンズさん、俺の市長に
なってーな。そしたら、ほんま俺、助かんのに。)ってめっちゃわかりやすい
ねんけど、エド コッチさんの再選を阻む曲なんはわかるやろ?
因みにディンキンズさんは、デイビッド ディンキンズ(David Norman Dinkins)さんのことでエド コッチさんのあとニューヨーク市長にならはった人やわ。
さあ、こっから今日のメインの話になんねん。「え?今までの何やったん?」って
言うたら、そやな、前菜やわ。
「Barb Wire」は、その話いらんのに勝手に書かしてもろてるから、客の注文に
関係なく勝手に出てくる突き出しな。
70~80年代のアメリカで大暴れしてるアーバンアートの影響を受けた
イギリスでは、どんなムーブメントが起こったか見ていくで。
60年代のCORNBREADや70年代のTAKI 183の影響を受けてイギリスの
若い子らは、すぐに同じように真似てイギリス中に拡散していくねん。
60年代はまだグラフィティっていう感覚はなくて、イギリスの場合
「ウォールアート」(Wall art)として、政治に関する個人的な意見や考え方を
伝えたい一心でポスターを作って大量生産して壁に貼り付けたり、中には
ステンシルをつかって壁に描いたりしたもんもあったらしいけど、ほとんどは
ポスターやって、まあプロパガンダ的なもんやってん。もちろん違法やからな、
作成者は匿名やで。
70年代になると爆発的にイギリスが荒れてくねん。そうそう、セックスピストルズ(Sex Pistols)、パンクロックの誕生のおかげやわ。10代の若い子らの不良や
非行行為が大問題となってくねん。パンクロック自体はニューヨークのラモーンズ(Ramones)が最初やと言われてるけどね。パンクが現れる70年代半ばに、
ロンドン北部のいたるとこで「KIX」って書かれてることに、ある日、住人が
気づかはんねん。誰が書いたんやって言うたら、のちにマッドネス(Madness)って
いうバンドを結成するリー ジェイ トンプソン(Lee Jay Thompson)さんやって、
退屈しのぎに落書きしていちびってたってことやわ。3人の仲間も集めてそれぞれKIX、Mr B、Clomubo、Catってタグでカラースプレーで描いててんけど、一応、
個人が所有するもんには落書きしないってルールを決めてたらしいわ。
そのうちタイムズ紙に辛辣な記事を書かれたり、地元の人らから「捕まえて、
いてこましたる」って怒られてたから、まあ、このルールは自分らで作ったもん
やけどティッシュなみの薄さで鼻かんで終わりやったってことやな。
70年代のイギリスのグラフィティは政治的な意味合いのもあれば、しょーもない、
わけわからへんもんもあって「Go And See Stardust With David Essex.
It’s Really Great.」(おばちゃん訳:デイビッド エセックスさんと一緒に
スターダスト見に行ったらええわ。めっちゃすごいで。)とか、意味が
わからんもんが結構あったんやって。
因みにデイビッド エセックスさんは歌手で俳優やったらしいわ。
80年代に入ると、ワイルドスタイル系の装飾的なタグが流行って、いたるとこに
落書きが増えてくねん。
ニューヨークの地下鉄や路上でのグラフィティやストリートアートの影響を受けて
同じように電車の側面や路上に描いたもんが増えていくんやけど、ミューラルも
ぎょうさんあってね。もちろんニューヨークでもミューラルは有名やけどね。
ロンドンはまた特徴的やねん。この頃のロンドンのミューラルは政治や社会的な
目的のために依頼されて描いたもんが多かってん。制作を依頼した勢力はたいがい
左派寄りで、反戦や核拡散への抗議っぽいのが目立ってね。まあ、一部の名の知れたミューラルのアーティストらが商業的に成功してた部分があったってことで、
たいがいは違法または所有者の許可を得て動植物を描いたり、窓に人物を描くのが
一般的やったらしいわ。
なんで窓に人物を描くのが流行ったか言うたら、イギリスでは17世紀終わりから
19 世紀半ばにかけて家の窓の数によって課せられる「窓税」ってのがあってね、みんな税金払いたないから、できるだけ窓の数を少なしよう思て窓枠をレンガで
塞いで窓を無くしたはってん。おばちゃんがロンドンにいてた時はそういう家、
まだ結構残っててん。イギリスの家なんて築150年、200年なんてザラやから、
今でも結構残ってるとこあるやろね。
で、そんな塞がれた窓(Blind window ブラインドウィンドウ)に、
人物が窓辺にいるような絵を描くってことやねん。
Courtesy of Steve Harrison, winckleysquarepreston.org Image credit: alondoninheritance.com
90年代になるとミューラルとストリートアートが主流になって肖像画、動植物、
有名人の似顔絵、風景、デザイン的なもんが違法に描かれては、塗りつぶされたり
撤去されたりして繰り返されててんけど、状況によっては残される作品とか
あったもんやから、「違法でも残してくれる作品があるんや」ってことで
ますます違法に描かれたのが増えてって「これくらい残しといてーな、
ええや~ん。」を求めるようになってくねん。
もちろんニューヨーク同様、企業とかからの依頼で描いたもんもあったけど、
そんな成功してる人なんて一握りやったしな。
そしたらこの辺で、あの人登場してもらうわ。
90年代、ストリートアート、イギリスと言えば、この人が出てくんね。
バンクシー(Banksy)さんね。
イギリス南西部の町ブリストルで、違法で壁に描いてはってんけど、まだその頃は
それほど注目されてへんかってん。
バンクシーさんの作品は、80年代にブレック ル ラットさんがパリで作成してた
作品の手法 (ステンシルとトレードマークのネズミ) やイメージを真似たと
言われてもしゃーないわ、悪いけどソックリやん。それについて次のように
インタビューで言い訳したはるわ。「自分のオリジナルの発想で描いたって
思う度に、それ20年前にブレック ル ラットさんが同じことやってたって
後で知ることになんねん。」
バンクシーさんのストリートアートはどれも間違いなく違法で作成されたもんやね。それが匿名で活動してる理由やねんけどね。月光仮面の歌やないけど、「嵐のように現れて~ 嵐のように去って行く~ バンクシーさんは誰でしょう~」って感じやから「ゲリラアーティスト」って呼ばれてるわ。彼のステンシル作品は反戦、
反資本主義、反体制のメッセージをユーモアに描いてはるのが多いね。
この「ユーモア」が人を惹きつけるんやろなあ。
これは↓ブリストルで活動してた時代に3日間かけて制作した大きなミューラル作品「The Mild Mild West」って言うて、テディベアが警察に向かって火炎瓶
投げようとしてるとこやわ。1999年の作品やからちょうどブリストルから
ロンドンに拠点を移すころやね。
Image credit: bristolpost.co.uk
ブリストル周辺の使われてへん古い倉庫で、無許可でパーティをようやってた
若い子らがいてな、そのうち警察から目付けられて、1997年のニューイヤーズ
イヴにパーティやってたら警察の機動隊が襲撃してきたって事件にちなんで
制作された作品やってことやわ。
バンクシーさんが有名になっていったんは2000年に入ってロンドンに
移ってからで、彼の風刺的な作品が注目されてくことになんねん。
「なんや俺、みんなからえらい注目されてるやん」って思たかどうかは知らんけど、オンラインでいくつか作品のプリントを手頃な価格で販売しはって、そのプリントを買い求める人が殺到してん。みんな何時間も待ってプリントをゲットしようと
必死のパッチやって、運よくゲットできたら早速、値段をつりあげて転売に
直行やわ。オンラインオークションにかけたら24時間で5倍に値段が膨れ上がるから気合入るってもんやってん。
え?自分がほしいから購入するんとちゃうのって?普通はそうなるやんな。
自分が気に入った作品をゲットしたいよな。でもバンクシーさんの作品やで。
蓋開けたら、ほとんどの人は転売にまっしぐらやったってことやねん。
2008年のアメリカ最大の投資銀行のリーマンブラザーズが破綻して世界的な危機をもたらしたリーマンショックの時、イギリスは2008年~2013年ごろまで
影響が続いて大変やってん。アーティストらにとって作品が売れへんという
事態になって大きな打撃になってんけど、そんな中でもバンクシーさんの作品は
影響受けんと需要が下がらへんかってんて。
路上で絵を描いたはった人が、高い評価を得ていろんなとこでソロエキシビションを開けるくらいになり、作品がアートコレクターの間で人気となって、作品を作ったら飛ぶように売れてウハウハとウホウホの世界を実現しはったって言うたら、
ジャン=ミシェル バスキア(Jean-Michel Basquiat)さん、キース ヘリングさん、
バンクシーさんがすぐ思い浮かぶわ。
ジャン=ミシェル バスキアさんは80年代前半ニューヨークでストリートアートから這い上がって一躍有名となった人やわ。
バスキアさんとへリングさんは路上での展示から権威あるアートギャラリーでの
展示へと移って、それがメインとなってったけど、バンクシーさんは路上や
不法占拠した店での違法エキシビションに拘ったはんね。おばちゃんの知る限り、
今までギャラリーで展示ってほとんどないんちゃうやろか?
2009年ブリストルミュージアム&アートギャラリー(Bristol Museum & Art Gallery)で、ミュージアムを乗っ取るような形で絵画や3D作品100点を展示した
エキシビションと、2023年グラスゴーのGoMA(Gallery of Modern Art)で開いた1988~2023まで作品制作のために作ってきたステンシルを集めたエキシビション
くらいやわ。
バンクシーさんの場合、いろんな国で「バンクシー展」が開かれてるのも
特徴的やね。
2020~2022年にかけて日本でもいろんなとこで「バンクシー展」があったわ。
中にはほんまのバンクシーさんの作品もあるんかもしれんけど、ほとんどは
バンクシーさんの作品のオマージュ(悪く言えばパチもん)を展示したっていうのが
正直なとこちゃうやろか。こういう「バンクシー展」って、バンクシーさんの承認を得んと勝手にエキシビションしてはるから、本物の可能性低く感じるやん。
その目的は何やねんって言うたら、言わんでも想像つくと思うけど、
「バンクシーさんの作品」をできるだけ多く集めて大勢の観客を集め、
チケットを売り、大きな収益を得るってことやわ。ビジネスやからね。
21世紀のアーバンアートは世界的規模で有名になり、ドンドン市民から「ええやん」って受け入れられ、都市や街が作品で飾られ、ストリートアートツアーなるもんが
出てきてクールな観光地として賑わい、経済的効果が期待されるって感じで
ええ評価を得てる一方で、アーバンアートは物議を醸す代物でけったくそ悪いわって思てる人らもいるけど、やっぱり昔に比べたら結構受け入れられてきたわ。
アーバンアートのユニークさと先鋭的なクールさが企業のマーケティングや広告に
採用されたり、地元の小さい店や企業からミューラルの制作を依頼されたり、企業とのコラボレーションが多なって稼げるようになってきたから、職業として
根付いてきてるんちゃうやろか。
イギリスではブリストル、シェフィールド(Sheffield)、ロンドンやとブリックレーン(Brick lane)やショーディッチ(Shoreditch)あたりがストリートアートの街として
有名やで。
おばちゃんつくづく思うねん、ほんま、変わったなあって。
ショーディッチなんかほんまに街全体が荒れてたのに、今の街の写真みたら
ビックリしたわ。
こんな長ったらしい話に付き合ってくれてありがとうね。
ようここまで読み続けてくれたわ。
いつになるかわからへん次回はこれの第2弾になんで。
え?まだ続くの?って、ひつこいけどまだ続くで、これ。
メインの次はデザート食べなあかんやん。メイン並みに大事やろ?
ほなな~。