

ページへ彼は「俺と付き合うには条件が4つある」と言い出した。
「俺 と付き合うには、第一に『かわいい子であること』、そして第二に『向上心を持ち続けること』。尊敬し合える存在でいたいからね。第三に『俺と付き合うには 金がかかる』。お互い働いてるからデートはお金をかけよう。それからいつもおごってもらうばかりじゃなくて、出す時には出してほしい。第四に『サプライズ がほしい』。まだマヤちゃんのことは70%しか好きになってないから100%にさせてほしい。付き合う相手には俺色に染まってほしいんだ」
この時の私は、彼の言葉にただただショックで倒れそうになっていた

とりあえず条件が飲めるかどうかの返事は今度でいい、と言われたので即答せずそのまま帰宅。
しばらくすると、上から目線の彼の態度に対して言いようもない怒りがじわじわ込み上げてきた

B'zファンだった私はボーカルの稲葉さんソロの「Wonderland」という曲を何度も思い出し、咀嚼していた。
この歌は、自分が正しいと思い込んでいる男性が他人の価値観を変えてやろうとしたけど、後からそれは愚かな行為だったと気付く歌詞。
彼にメールで「今日Wonderlandを聞いていたよ。いい曲だからぜひ聴いてね」と送った。
彼からの答えは「借りてきて聴いてみたよ。歌詞がちょっと微妙だけど・・・」と何かしらに気付いたようだった。
そしていよいよ彼の条件を飲むかどうか答えを出す約束のデート当日。
私はその日のトータルコーディネートにかなりお金をかけた。
雑誌CanCamに載っていたのと同じワンピース
に、サマンサタバサのバッグ
、プライベートレーベルのサンダル
とスワロフスキーのアクセサリー
慣れない付け爪でいらいらしつつ、戦場に向かった。
後にも先にも身なりに対してあんなにお金をかけたことがなかった。
今考えると、いったい何のつもりであんな無理をしたのだろう。
並んで歩きたいと思うような女性を演出したかったのだろうか

しかしこの後の私の行動はつまらない意地を張っていて意味不明で、何をしたいのかが分からずもはや不思議ちゃんとしか言いようがない。
喫茶店に入り彼と向き合い、最初はいつもどおりたわいのない雑談をする。
趣味が似ているので彼との話は盛り上がる。
1時間ほど経過しても特に危うい雰囲気はなかったせいか彼はとても落ち着いていた。
どうしようか?という迷いがあったが、ちゃんと言いたいことは言おうと思った。
私の答えはこうだった。
「まず、第一に『かわいい子であること』ということだけど、自分をそんなにかわいくないと思っています。
容姿については変えようがないのでどうすることもできないのと、自分の胸の中に収めておけばいいようなことをわざわざ相手に突きつける人の性格を疑います。
第 二の『向上心を持ち続けること』ですが、それは自分の中から自然に湧き上がってくるものであって、他人から強要されるものではありません。強要されなくて も向上心は持っているし、相手に常にそれを求められると私は萎縮してしまいます。付き合う相手には向上心より癒しを求めたいです。
第四の『サプライズがほしい』ですが、バレンタインデーでのあれはサプライズじゃなかったんですか?相手に『付き合う条件がある』というのも上から目線だし、そのうえクリアしてることもあえてまた条件として提示してこられると、正直気持ちが萎えます。」
彼の反応は「・・・ということはムリだったみたいだね。そうだったら仕方ないね」だった。
私の方は、言いたいことは言えたから後は向こうの受け取り方に任せようというつもりだったのかもしれない。
好きだから別れたくない気持ちと、こんなオレオレ主義な人とは別れたほうがいいという気持ちが混在していた。
最後くらいは私が支払いを済ませようと思ったが、やはりあいかわらず全部彼が払ってくれたので「いいのに」と私が言うと「そういう時は素直に『ありがとう』って言ってくれればうれしいのに」と彼が言ったので「ありがとう」とぎこちなく返した。
この時気付いたが、彼におごってもらった際に今までお礼を言ってこなかった。
27歳でこのバカっぷりは正直イタいと今になっても思う

おごってもらったことに対して感謝の気持ちがなかったのかというとそうではない。
彼のような羽振りのよい人と付き合うのは初めてで慣れていなかった。
彼にとってはおごるのが当然のようだからお礼を言われても困るだろう、などというとんでもない思い込みをしていた。
彼の第三の条件で、「俺と付き合うにはお金がかかる」に関しては何の反論もできないわけだ。
彼の言うとおり、私は彼に甘えて全部デート代をおごってもらっており、しかもお礼さえ言っていなかった。
はっきり言って私が悪く、言い訳しようがない。
私の不配慮な行動に対して、彼が私に物申したかった気持ちは今ではよく理解できる。
正直、1回目のデートでフラれてもいいくらいだった。


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