先週末、映画館やDVDで6本の映画を観た。
その中の一本が、「東京家族」である。
山田洋二 監督50周年を記念して制作された。
監督 山田洋二
出演 橋爪功 吉行和子 西村雅彦 妻夫木聡 蒼井優ほか
「東京家族」は、小津安二郎監督が制作した「東京物語」のリメイクである。
監督 小津安二郎
出演 笠智衆 原節子
60年前に公開されたということは、山田氏が監督になって50年なので、
東京物語が公開されたころは、山田監督も助監督だったのだろう。
物語は、ある老夫婦が広島の尾道から息子夫婦たちが暮らす東京を訪れ、子供たちとの関わりを
描いている。
年老いた両親の一世一代の東京旅行を通じて、家族の絆、夫婦と子供、老いと死、
人間の一生、それらを冷徹な視線で描いた作品である。戦前の小津作品、
今日の核家族 化と高齢化社会 の問題を先取りしていたともいえる。
小津映画の集大成とも言える作品で、国際的にも非常に有名な日本映画であり、
各国で選定される世界映画ベストテンでも上位に入る常連作品の一つである。
戦前は映画で軍人の妻を演じることが多かった原節子 が、戦争で夫を亡くした未亡
人を演じている。
僕はこの映画を20歳のとき初めて見て、深く感動した。
すべてを観たわけではないが、おそらく小津作品の中で最高傑作だろう。
とくに、二男の妻役を演じた原節子が、とてもよかった。
どこかよそよそしい長男夫婦とは、対照的に献身的で優しさに満ちていて、
すごく自然である。
「東京家族」の方は、原節子の役を蒼井優が演じている。
演技派として知られる彼女だから、演技は良かったが、少し脚本を変えていたのが
イマイチだった。
「東京物語」では、尾道に帰った翌日、母が他界する。
葬式に全員集まり、ひとりになった父を気遣うのが、二男の嫁役の原節子である。
そのシーンが、思い出すたびジーンとくる。
けっして悲しいシーンを積み重ねなくても、心に響くものがある。
この辺りが、名匠と呼ばれた小津監督の成せる技だろう。
「東京家族」では、葬儀のシーンはあるが、その部分を少し変えていた。
山田監督も、自分の師であるような小津監督の作品をリメイクするのは、大変な思い入れが
あっただろう。
派手な映画が台頭している昨今、こんな地味な映画を観るのも大切だと思う。
今の時代にも、いや今の時代だからこそ、意味のある映画かもしれない。
2時間20分にも及ぶ大作である。
なんだか久しぶりに、「東京物語」が観たくなった。


