一見なんの関係のないものと思われる映画「アルゴ」と小説「海賊とよばれた男」
実は意外なところで繋がっている。
僕は、百田尚樹氏が描いた「海賊とよばれた男」を読んでいて、
ちょうど、最大の山場である日章丸事件にさしかかったところである。
この物語は、出光興産創始者の出光佐三をモデルに描かれた作品である。
戦後の焼け野原から、すべてを失い、借金しかない状態の中で、1000人の社員の首を
一人も切らずに、奇跡の復興を遂げた男の話である。
その中に描かれている日章丸事件は、石油の新たな取引先として、当時最大の産油国だった
イランと交渉を開始する。
しかしイランは、イギリスが出資して石油産業が開始されて以来、搾取され続けてきた。
「イランの石油はイランのもの」という精神からモサデク大統領は、イギリスとの契約を破棄する。
そこに目をつけ、出光氏はイランと新たな取引を開始する。
イギリスは、イランから石油を積荷したタンカーを拿捕したりして、イランの石油貿易を阻止する。
そんな中、出光氏は日章丸をイランに向け出航させ、見事、石油を日本に持ち帰る。
西欧諸国を中心としたメジャーの裏をかいた策略は、当時敗戦で自信を喪失していた日本人たちを
大いに勇気づけた。
これが世に言う日章丸事件である。
そして、映画「アルゴ」は、そのあとのイランを描いた作品である。
モサデク政権がアメリカの陰謀によって転覆され、パーレビ国王を
国王に復帰させ、自らの都合の良い石油の契約を結ばせた。
そのことを知った民衆は、一斉蜂起しイラン革命が起こる。
パーレビ国王は、アメリカへ亡命し、ホメイニ氏が政権につく。
イラン側は、パーレビ国王の引き渡しを要求するが、アメリカは頑として拒んだ。
その時起きたのがアメリカ大使館人質事件である。
暴徒化した民衆がアメリカ大使館を襲撃する。難を逃れようと6人の大使館員が逃げ、
カナダ大使公邸で匿われる。
アメリカは、6人の国外脱出を図ろうとするが、具体的な案が出てこない。
そこに現れのがCIA工作員のトニー・メンデス(ベン・アフレック)である。
彼は、「アルゴ」という架空のSF映画をでっちあげ、6人を映画スタッフに扮装させ、
見事に国外脱出を成功させる。
第85回アカデミー賞作品賞を受賞した。
映画しては、ハラハラドキドキの連続で面白かったが、もう少し歴史を描いてほしかった。
イラン=悪 みたいな構図ではなく、アメリカも様々な策略のもと、イランを食い物にしてきたことも
事実である。その辺りをきっちり描いてほしかった。
まあそんなアメリカの恥部を描いたら、受賞は難しいだろうけど・・・
最近アカデミー賞作品賞の受賞作品は、ドキュメント的は映画が何故か選ばれる。
アメリカ商業映画も、CGばかりを駆使した映画に、辟易しているのだろうか?
正直なところ、作品賞を受賞するほどの映画ではなかったような気がする。
同時期に、イラン革命前後を描いた、本と映画に出会えたのも不思議な感じだ。
是非、「海賊とよばれた男」を読んで、映画「アルゴ」を見ていただきた。
日本人としての誇りや価値観を再考することができる。

