【地震】閉じ込められたとき、助かるためには | LaboFB・永山政広の防災ブログ

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能登半島地震が発生してから10日が経ちました。

家屋の下敷きになった人の救出が困難な状況が続いていますが、

一方では、奇跡的に助かった人の事例も報道されています。

状況が厳しいとはいえ、希望を失ってはいけないと思います。

 

そこで視点を変えて、

もし、私たちが家屋の下などに閉じ込められたりしたら、

どのようにすれば助かる道が開けるのか、

考えてみたいと思います。

 

①自力脱出を試みる

まずは、自分の力で脱出できないか試みてみましょう。

家屋が倒壊した場合でも、空間があれば圧死を免れることもできるでしょうし、

壁などが覆いかぶさっていても、自分の姿勢を変えることで抜け出せるかもしれません。

 

ただし、自力脱出は慎重に行うことが重要です。

家屋の倒壊時は、様々な部材が微妙にバランスを取りながら折り重なっているはず。

脱出の邪魔になるからと、目の前にある部材を取り除いたことにより、それに支えられていた別の部材が落ちてくることもあるのです。

難しいと判断したら無理をせず、助けを待つことにしましょう。

 

②体力の消耗を避ける

助けを待つと決めたら、徹底して体力の温存に努めるべきです。

新たな自力脱出法を思いついたのなら別ですが、

何度も同じ方法を試みているうちに体力が消耗していきます。

大災害の場合は救助の着手まで時間かかることが多く、

閉じ込められた人は長時間待たねばなりません。

「72時間の壁」という言葉がありますが、水分や栄養が供給されないと、人間は72時間経過したあたりから急速に生存率が低下するという過去の統計が根拠になっています。

体力をどの程度使うかによって、生存のタイムリミットは、長くもできるし、短くもなるのです。

 

③保温に努める

低体温が続くと生存のタイムリミットは、急速に短くなっていきます。

もし手が届く位置に布団や衣類、カーテンのようなものがあれば、身体を覆います。

また、身体が地面や冷たい床に接していると体温が逃げてしまうので、断熱措置が必要です。前記の保温効果があるものを身体の下に差し込んでみましょう。

 

④心を落ち着かせる

精神が安定していないと身体にも悪影響を与えます。

ゆっくりと呼吸をして心を落ち着かせましょう。

エネルギーの無駄な消費がなくなり、体力の温存につながります。

そして、悲観的にならないことです。

必ず助かるんだという希望を捨てずに救助を待ちましょう。

会いたい人の顔を浮かべたり、

楽しかった出来事を振り返ったり、

好きな映画やドラマのシーンを思い浮かべたり、

好きな歌を心の中で歌ったりするんです。

 

「こんな非常時にそんなことをしていられるか」とおっしゃる方がいるかもしれませんが、

非常時だからこそ「生き抜く目標」が必要になってくるんです。

 

➄助けを求める

人の気配を感じたら助けを求めましょう。

しかし、大声を続けていると体力の消耗につながるので、防災用のホイッスルを使う方法もあります。

ただ、いつもホイッスルを持っているわけではないので、

近くにあるものを手で叩いたり、足で蹴ったりして音を出すのです。

 

救助隊が人命検索を行う場合、まず家屋に向かって声を掛けます。「消防です。誰かいませんか?」と。

そしてしばらくの間、音を立てずに耳をそば立てます。

サイレントタイムと呼ばれるもので、閉じ込められている人の反応を窺っているのです。

そのときがチャンスです。声で、あるいは音を立てて助けを求めましょう。

音を立てる場合は、単調なものより変化をつけると気付かれやすくなります。

「トントントン…休み…トントントン」といったふうに。

 

⑥クラッシュ症候群などへの注意

無事救出された場合でも注意すべきことがあります。

もし、倒れてきたもので身体を長時間圧迫されていた場合、解放されたときにクラッシュ症候群と呼ばれる症状を発することがあるからです。

筋肉が長時間圧迫されると、細胞膜が破壊され内容物が流れ出し、圧迫された部位付近に溜まるようになります。そして、圧迫から解放されたと同時にこれらが血流にのって全身に回り、高カリウム血症などを引き起こす状態がクラッシュ症候群です。これは不整脈を伴い死に至ることも珍しくありません。

 

消防などの救助隊は、その危険性を承知しているので、救出する際に医師と連携したり、救出後も速やかに医療機関へ搬送するなどの処置をとりますが、家族や近隣の人に救出された場合は、そこまで気が回らないでしょう。

その時点では異状を感じなくても、医療機関へ行き、どのような状態で閉じ込められていたのかをしっかりと伝え診察を受けるべきだと思います。

 

また、圧迫されていなくても、長時間窮屈な姿勢でいて、水分摂取が十分でないとき、エコノミークラス症候群を発症することがあるので、注意が必要です。

 

地震による閉じ込めは、様々なケースがあるので、今回ご紹介したとおりにいくとは限りません。

ただし、どんな場合でも共通するのは、「冷静になること」です。

いざというときのために、自宅や職場にいる時を想定して、「もし閉じ込められたらどうするか」を考えてみてはいかがでしょうか。

きっと役に立つはずです。