その1

その2

(上記を先に読まれることを推奨します)

 

2015年。前年度のJ3降格の大ピンチに陥ったヴェルディを残留に導いた手腕が評価され、冨樫監督は2015年も続投することになりました。

 また、昨年度途中でGMと強化部長も兼任していたヤス監督の辞任を受けて、GMにはクラブのOBでG大阪や柏のスタッフも歴任した竹本一彦氏が就任し、選手間の交渉や補強面においても一定での改革が行われました。

 この頃には北九州からやってきた選手はGK佐藤優也しか残っておらず、ユースの出身者を中心とした生え抜き中心のチーム作りに回帰しました。目標は「9位以上」と、まずは中位以上に復帰することが目標となりました。この年になってくると昨年度まで見られた若手選手を安価で放出するような退団は、経営が安定してきたこともありほとんど見られなくなりましたが(以前は育成費まで半額にしていたとか)、目だった補強もそこまでなく、あえて言うならヨーロッパや中国で活躍したブルーノ・コウチーニョ選手程度でそこまで大きな期待はなく、降格候補にすら挙げられていました。

 

 しかし、このチームは予想を超える快進撃を見せるのです。

 序盤こそJ2昇格1年目の金沢に初勝利を献上するなどもたついたものの、その後は高木大輔、Wアンザイこと安西幸輝と安西和樹、澤井直人、杉本竜士、南秀仁といったユース出身の有望株に、井林章、中後雅喜、田村直也、アラン・ピニエィロといった外部から加入した選手が融合し、めきめきと順位を上げて一時期は破竹の5連勝で大宮、磐田の自動昇格圏に肉薄するほどの勢いを見せました。

 

 また、起爆剤となったのがかつてJ2のヴェルディからユトレヒト(オランダ)に飛び級で移籍し、おそらく戻ってくることはないだろうと言われていた高木善朗の復帰でした。

 当時は所属していたJ1の清水エスパルスからのレンタル移籍という形ではあったものの「ヴェルディをJ1に上げるために戻ってきました!」という趣旨の力強いコメントは多くのヴェルディサポーターを涙させました。

 結局、9月10月には他チームの対策が進んだため勢いを落とし、最終節のセレッソ大阪戦に破れて8位に終わり、J1昇格はなりませんでしたが、それでも最終節までJ1昇格プレーオフ圏内の6位までに入る可能性を残していました。

 

 昨年度の大不振により、サポーターや評論家からJ3降格候補に予想する声も多かった中でのこの躍進は、冨樫監督やユース出身の選手たちの活躍により「ヴェルディらしさ」を取り戻した結果であり、ヴェルディの育成組織による育成能力の優秀さを証明することになりました。

 

 何よりも、H岐阜戦の0-3からの大逆転勝利に代表されるように、チーム間の結束が強く、苦しい状況でもあきらめない「勝負強さ」がありました。

 途中加入の高木善朗や大ベテランの平本一樹、永井秀樹選手以外は著名なスター選手もいないチームがここまでの躍進を遂げたことで、サポーターからも来年は自動昇格を争える!ヴェルディ復活だ!と期待のボルテージが一気に上がりました。

 しかしながら、ヴェルディが今日を迎えるためには、翌年に訪れるもうひとつの大きな試練を乗り越えなければいけないのでした・・・

 

TO BE CONTIUNIED・・・