万年ダイエット中の俺は久しくラーメンを食べていない。そもそも１日のどこでラーメンを食べたら良いのか分からないのだ。
せっかくラーメン屋に入るからには、がっつり食べたくなるのが心情というものだ。しかしこってり系のラーメンを麺大盛り全部乗せで注文しようものなら、恐らく１食で1500キロカロリーを軽くオーバーしてしまうだろう。仮にダイエット中ではなかったとしても、その日はもうまともに食事が出来ないではないか。
人は言う、この広い宇宙に比べたら人間の悩みなんてちっぽけだと。しかしながら思うのだ。宇宙のスケールで考えたら、人生そのものが塵のようにまるで無意味になってしまうではないか。
さらに述べると、この世界においては人間より大きな構造よりも小さな構造の方が際立っている。観測可能な宇宙は10の26乗メートル、対してプランク長は10のマイナス35乗メートルだ。なので悩みをちっぽけだと決めつけず、優しく扱って欲しいのだ。
いよいよ夏の足音が近づいてきた。筋トレシーズンの到来だ。筋トレにおいて大切なのは、体の理想図を頭に描くことである。
去年の春、俺は下半身を徹底的に鍛え上げた。なぜなら大腿筋が全身で最も大きくカロリー消費量が多いからだ。しかし迎えた夏本番、目標体重を達成したのは良いが、太ももがあり得ないくらい太くなってしまったのだ。なので今年はダイエット効果は度外視して、腹筋と大胸筋を中心に鍛えるつもりである。まあ体を理想的に仕上げたところで、別に誰かに見せる機会はないのだが。
順調にダイエットが進行している。あと１キロで目標体重達成である。しかし空腹を我慢するために、煙草の本数がずいぶん増えてしまった。今では１日に３箱から４箱を吸っている。
肺を重く患うという不確定な遠い将来の脅威より、体重が増えるという確定的な近い将来の脅威を優先して俺は退けようとしている。窓の外の落雷の痛みは想像できないが、手元のろうそくの火に触れれば熱い。それが人間か、あるいは俺だけなのか。
アニメの食事シーンにて、唐揚げは大抵山盛りで出てくる。これが毎度美味そうなのだが、現実的に考えるとおかしい。２人か３人の食卓に、山盛りの唐揚げは多すぎるのではないか。
もっとも食い意地は20代の俺ならば、唐揚げの大皿盛りくらい平らげてしまうだろう。だからこそ飯テロは困るのだ。そんな食生活を続けたら体重がどうなるか、想像すると恐ろしい。