高校以来の友人Ａ氏とは、かれこれ20年の付き合いになる。
昼はエリートサラリーマン、夜は良き夫にして良き父親。今ではすっかり社会人・家庭人の鏡のような良識家になってしまったＡ氏だが、学生時代はそりゃあもうモラトリアムを拗らせに拗らせていた。
そんなＡ氏が大学時代に空手を習い始めた。「また余計なことを…」俺らヤンチャとはおおよそ縁のなかった勉強人にあり勝ちなことだが、道着に袖を通すだけで有頂天になり、周りの本の虫君たちより強くなったと錯覚してしまう。Ａ氏もまた例外ではなかった。
ある時友人数人で飲んでいて、Ａ氏「まきしま、試しに一発殴らせて」俺「じゃあ、俺に腕相撲で勝てたらな」、Ready Go！！まきしま瞬殺。Ａ氏「じゃあ、ゲーセンのパンチングマシンで勝負しようぜ」俺「ああ、いいよ」、Bacooom！！まきしま圧勝。
弱い！弱い！いちいち弱いんだよ！！黒帯取ってから出直して来い！！
もちろん腕相撲やパンチングマシンで空手の実力が計れるなどとは思っていない。しかし例えばサッカーの玄人を名乗る者がボールリフティングで素人に負けちゃあ、あまりにも格好がつかないだろうが。