昨年2017年、嵐がオリコンの音楽ソフト年間総売上で5年連続7度目の1位に輝いた。前人未踏の大記録であるが、俺などは思ってしまう、「嵐はAKBより一体何をそんなに多く売ったのだろうか」。
現在、日本で最も多くCDを売るグループは依然としてAKB48である。そして急速に台頭した乃木坂46、欅坂46がそれに続き、嵐は4番手に位置する。例えば2017年のCD売上を枚数ベースで言うなら、嵐は3枚のシングルと1枚のアルバムをリリースして計260万枚、AKBは4枚のシングルと1枚のアルバムをリリースして計580万枚だ。もちろん俺はAKBの握手券商法を肯定するつもりはないが、歌手を売上枚数のみで評価するというそもそもが偏極的な試みのルールに従って事実だけを述べるならば、嵐とAKBの売上枚数には実に倍以上の開きがある。
◆シングル・アルバム総売上枚数
1位 B'z 8233万枚
2位 Mr.Children 5953万枚
3位 AKB48 5416万枚
4位 浜崎あゆみ 5067万枚
5位 サザンオールスターズ 4894万枚
6位 DREAMS COME TRUE 4356万枚
7位 松任谷由実 3948万枚
8位 GLAY 3853万枚
9位 ZARD 3746万枚
10位 宇多田ヒカル 3622万枚
11位 SMAP 3518万枚
12位 嵐 3343万枚
13位 安室奈美恵 3239万枚
14位 CHAGE AND ASKA 3141万枚
15位 松田聖子 2966万枚
16位 L'Arc-en-Ciel 2927万枚
17位 globe 2893万枚
18位 Kinki Kids 2606万枚
19位 中森明菜 2538万枚
20位 TUBE 2455万枚
恐らくオリコンの言う「音楽ソフト年間総売上」とは、シングル、アルバムの売上にDVD、Blu-rayの売上を加え、それを金額ベースに換算したものなのだろう。オリコンがこのような合算法を用い出したのはAKBが台頭した10年代以降のことであり、そこにジャニーズ事務所の圧力が働いたのは想像に難くない。しかしシングル、アルバムは音源、そしてDVD、Blu-rayは映像源、両者は明確に異なる。もしこのような合算がまかり通るならば、嵐やAKBなどグループ名義の全てのコンテンツ、コンサート動員や書籍に写真集、それこそ何でも足して良しということになってしまうのだ。
かつてジャニーズの先輩SMAPは、B'zやミスチルのCD売上にいちいち一喜一憂などしなかった。そんなことをしなくても、彼らが日本のエンターテイメント界の頂点にあることは誰の目にも明白だったからである。そして現在SMAPに代わり、芸能界の王座にあるのが嵐である。その地位は決して揺らぐものではない、たとえAKBや乃木坂、欅坂がどんなにCDを売り上げたとしてもだ。嵐にはたかだか数字上の小競り合いに躍起になることなく、どっしりと横綱の品格を持ってほしいものである。