久しく都内に行っていない。学生時代は上野や秋葉原界隈を主戦場として練り歩いていたものだが、果たして今でもメイド喫茶は盛況なのだろうか。
ちなみに俺は、一度だけ友人とメイド喫茶に入ったことがある。感想、「一体これのどこが楽しいのか」。美少女メイド数人を抱える屋敷主気分になったくらいで有頂天、それは男としてあまりにスケールが小さいのではないだろうか。
そういえば昔誰かが言っていた、「お客様は神様です」。どうせならたかだかロリコン屋敷主ごときではなく、もっと壮大に神様の気分を味わってみたいものだ。そこで俺は考えた、ズバリ「神主喫茶」だ。
例えば俺が客だとする。店内に入ると、神主姿のオッサンたちが出迎えてくれる。巫女装束の美少女ではない、あくまで神主姿のオッサンだ。「ようこそ我が村に戻り降りられました、神様。崇め奉り歓迎申し上げます」。
俺は席に通され、メニューを開く。神主「本日の供物は何にいたしましょう」、俺「オムライスを一つ」、神主「『愚民共から血の一滴残さず絞り上げた年貢米でこしらえた洋風炒め飯の卵包み』でございますね。恐れながら、今しばしお待ちいただけますよう」。
やがてオムライスが運ばれてくる。そして神主が念を込めながらオムライスにケチャップで字を書いてくれる。「より美味でありますよう、より美味でありますよう」。書く言葉は「無病息災」、「五穀豊穣」、「開運除災」などなど、リクエスト次第で何でもござれだ。
さらに追加料金を払えばオプションで、神主たちが「神に捧げる演舞の儀」を目の前で踊ってくれるのだ。まさに至れり尽くせりのおもてなし、神様万歳である。
もしそんな喫茶店があったら、ぜひ一度行ってみたいものだ。もっとも、二度三度行きたいとまでは思わないが。