ボクシングでいうところの「鋭いパンチ」と「重いパンチ」、その違いは一体何なのであろうか。単に観ている側の視覚的イメージ、あるいは選手個々に対する先入観と言ってしまうことも出来るかも知れない。
しかし俺は学生時代、友人との戯れ合いの中で「鋭いパンチ」、「重いパンチ」双方を喰らったことがある。確かにそれらは全く質の異なるパンチであった。よって今日は「鋭いパンチ」、「重いパンチ」の違いについて、物理学の観点から考察したい。
まずパンチ力を運動方程式を用いて、以下のように定義する。
F=ma-R
(F;パンチ力、m;拳に乗せた体重、a;拳の加速力
R;打突の際に体が受ける反発力)
「鋭いパンチ」とは、上述の式においてaが極めて大きいパンチである。それを打つために要するのは瞬発力、そしてハンドスピードであろう。また「重いパンチ」とは、上述の式においてRが極めて小さいパンチである。それを打つために要するのは体重及び、足腰、体幹の筋力であろう。
ちなみに俺は学生時代、ゲーセンのパンチングマシンが友人の中で一番強かった。しかし俺は典型的な「鋭いパンチ」、足腰や体幹のパワーは人並みかそれ以下だ。
軽くて反動の小さいパンチングマシンのパッドならいざ知らず、いざ実戦で人相手の殴り合いとなったならば、著しく重さに欠ける俺のパンチなど何の武器にもならないだろう。まあそんな機会は一生ないであろうが。