テクテクテクテク帰り道、そして俺は立ち止まる。目の前には水たまり。直径およそ2mといったところか。突然の2択問題、俺は自問する。避けて通るべきか、それとも飛び越えるべきか。
学生時代、特にスポーツが得意だった訳ではないが、跳躍力だけは自信があった。高校の体力測定、俺の垂直跳びは72cm、走り幅跳びは4m95cm。助走をつけて跳べばバスケのリングにも手が届いた。
それから20年、体重は5kg増。そりゃあ昔と比べれば、確実に身体能力は衰えているだろう。しかし腐っても自称”ゼロ・グラビティ”まきしま。たかだかこんなサイズの水たまりにナメられるほど、俺はまだまだ老いぼれちゃいない。
意を決し地面を蹴り、水たまりの上を華麗にジャンプ、そして勢いよくバッシャーン。下半身はビショ濡れ、それ以上に周囲の視線がイタイ。全く、これだから歳はとりたくない。