以前の俺は、ネットニュースを欠かさずチェックしていたものだ。特に世界中で動乱の火種がくすぶる昨今、国際情勢に関する記事は固唾を飲んで見守っていた。しかしいつからか、俺は自分の意志でニュースを見るのをやめた。自分の中に偏った思想が芽生えてしまうのが怖かったからである。
周知の通り、現在の極東アジア情勢は最悪である。強大な力を持った中国、そして韓国、北朝鮮までもがこぞって日本に矛先を向け一触即発、その溝はマリアナ海溝の如く深まる一方だ。しかし俺は、誰にともなく問いかけたい。「果たしてそれは“真実”なのだろうか」。
例えば、韓国の朴槿恵大統領は一貫して反日・抗日姿勢を剥き出しにしている。しかしそれは本当に韓国民の総意なのだろうか。朴槿恵大統領の国内支持率は、韓国歴代大統領の中で最低水準の10%程度。ならば残り90%の韓国民は反日なのか親日なのか、それはニュースからは決して伝わってこない。そしそれは中国、北朝鮮についても同様だ。それぞれ国民の総意がどこにあるかなど、情報受信者である我々には知る由もないのである。
今や高度IT社会、ふとすれば膨大な情報の海に溺れてしまいそうだ。その中において、とてつもない量の情報の真偽を公正かつ客観的に判別し、揺らがぬ信念と良識を自分の中に保ち続ける。それは口で言うほど簡単なことではない。