例えば不良漫画みたいに、ワンパンチで相手がぶっ倒れることなど本当にあるのだろうか!? | まきしま日記~イルカは空想家~

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ちゃんと自分にお疲れさま。

自慢ではないが、俺はゲーセンのパンチングマシンが強い。少なくとも、周りの友人たちの中では一番強い。それこそ学生時代は友人とともに深夜のゲーセンに行き、並居るヤンチャ君たちをかきわけて、パンチングマシンで何度も本日最高記録を叩き出したものだ。沸き起こる喝采のまあ気持ちいいこと。


そして自慢ではないが、俺は人を殴ったことがない。記憶する限り、中学以降ただの一度もだ。その代わりと言ってはナンだが、友人に殴られたことは何度かある。俺みたいな360度善人に対してグーパンかますとは、全く以てひでえヤツラだ。そしてそれが、ビックリするほど痛くも痒くもないのだ。俺はある疑念を抱いた。「例えば不良漫画みたいに、ワンパンチで相手がぶっ倒れることなど本当にあるのだろうか」。


もっとも友人同士であれば、多少なりとも手加減を加えたことも考えられよう。ならばとばかりに武勇伝。22歳の時、俺は一度だけ居酒屋の外でタイマンを張ったことがある。相手は元暴走族のチンピラだ。その時でさえお人好しにも俺は、ケガはさせまいと投げ技のみで応戦したのだが、相手は完全にガチギレ、容赦なく顔面をボカボカ殴ってきた。ところが、アドレナリンがビンビンに出まくっていたせいもあるのだろうか、蚊が刺すほどにも効かなかったのだ。むしろ、翌日の筋肉痛の方が遥かにキツかった。


さすがに30を過ぎた今となっては、年甲斐もなくゲーセンでパンチングマシンを打つのは気が引ける。しかしそれでも俺は、今もダンベルを握って無駄にパンチを鍛えている。「いざという時、本当にこんなものが護身になるのか」、拭い去れない疑心とともに。