恐らく俺は音楽には疎い部類だろう。邦楽に関していうなら聴き知るのは主に90年代のポップスのみ、洋楽に至ってはまともに聴いたのはマイケル・ジャクソンくらいである。
しかしどうやら俺は、耳で聴く前に頭ばかりがでかくなってしまったようだ。俺より遥かに音楽に精通しているであろう人たちは言う、「現代の音楽、その全てのルーツはビートルズである」。俺はその言に、どうしても首をかしげてしまう。
ビートルズが20世紀以降最高のミュージシャンであることについては、その曲を数えるほどしか知らない俺ももちろん異論はない。しかし「最高」は「最高」であって、決して「最初」と同義ではない。もし現代音楽に祖を求めるなら、それは間違ってもビートルズにはならないだろう。
現代のロックやポップスといった音楽。それをどこまでも溯るなら、究極的に行き着くのは60年代ビートルズではない、50年代エルヴィス・プレスリーだ。