俺は市川海老蔵が嫌いだ。しかしそれについて、小林麻央には何の咎もない。小林麻央の知人でもなければファンですらない俺だが、それでも死に相対し壮絶に闘っている女史に対し、ひと欠片のエールも湧き起らないほど、俺はまだ荒んではいない。
さて先日、ネットニュースで見かけた記事。「小林麻央のがんはどれほど深刻なのか」。ページを開いた俺を待っていたのは、抑えきれぬ”怒り”であった。そこには自分の医学的見識を得意気に書き誇る筆者の姿。つまり「小林麻央」の見出しは注目を集める為の”釣り”、筆者はただ自分の知識をひけらかしたかっただけなのだ。
「救えねえ、性根から腐ってやがる」。知に知を重ねた”有識者”とやら、その行き着いた果てがこの醜文なのか。おぞましい愚である。ならば俺は知など求めぬ。知に溺れて見境をなくすくらいならば、俺は生涯我が無知を誇ろう。