かなり以前、『コンタクト』なるSF映画を借りて観たことがある。当時所属していたAmebaの宇宙科学コミュで、多くの人が秀逸作だと勧めてくれたからだ。
『コンタクト』、物語の概要は天文学者である主人公が偶然にも地球外知的生命体からの交信をキャッチ、有人探査機に乗り込み彼らとの接触を試みるというものである。感想はと言うと、「並行宇宙」の概念を正しく解釈し取り入れている、以上。つまり「科学的に正確である」、ただそれだけの、あくびが出るような退屈な作品だったのだ。
さて、世界で一番有名なSF映画『スターウォーズ』。銀河全ての惑星は一つの共和国を形成し、ジェダイの騎士により法と秩序が保たれている。世界中のスターウォーズファンたちが、宇宙艦隊のド迫力やジェダイの騎士たちの活躍に熱く胸を躍らせたことだろう。
しかし厳密な科学的視点から見たなら、「銀河共和国」など大ウソもいいところだ。「ワームホール理論」などというおとぎ話を例外とするならば、現代物理学において超光速航行は不可能とされている。つまり直径10万光年の銀河は、やはり10万年かけて横断するしかないのだ。それどころか数百光年、数千光年といった「ほんの近所の星」まで出かけただけで、故郷の地球に戻れば何世代分も時間の経ち方に違いが生じてしまう。
つまり全銀河を同じ時間軸で統治するなど、到底不可能なのである。けれどそれを俺がSFファンに説いたところで、一体誰が得をするというのか。
残念ながら我々が住まうこの宇宙、それはドラマチックな法則で創られてはいない。もしSF作品に科学的厳密性を追求するならば、それは物語から夢や希望、ファンタジーを奪う足かせとなるだろう。だからこそ俺は言いたい。物理法則などクソくらえ、漫画みたいな話は漫画みたいな話だからこそ面白い。