昔、偉い人が言った。「髪が伸びるのが早い人はエロい」。俺はこれを、「タバコを吸うと身長が伸びなくなる」、「牛乳を飲むと胸が大きくなる」、「メンソールを吸うとイ〇ポになる」と言った迷信、妄信、魑魅魍魎の類だと思っていた。しかし最近になって思うのだ。あながちそれは嘘とは言い切れないのではないか。
俺は薄毛家系ではない。しかし代わりに超太毛家系である。散髪してひと月も経たぬうちに、気付いたら髪の毛が伸びると言うより膨らんで、どうにもこうにも収拾がつかなくなる。それこそ10代20代の頃は、毎月のように美容院に行っていた。しかし最近、美容院に行く頻度がめっきりと減った。2ヶ月に一度、いや下手したら3ヶ月近く髪を切らなかったりする。恐らく中年になり、外見や髪形がどうでも良くなったというのもあろう。けれどそれを差し引いても、俺の髪の伸びる速度、膨らむ速度は間違いなく落ちている。
年寄りじみた話だが、俺も30歳を越えていよいよ体のあちこちにガタがき始めている。そう、身体機能は確実に加齢に伴い衰えているのだ。毛髪力もかくあって然るべきだろう。そして加齢による衰えというのなら、あっちもまたそうである。自粛して自粛して自粛しまくった挙げ句に要約していうと、俺のエロ力もまたどんどんと下降の一途を辿っているのだ。
毛髪力、エロ力、恐らくそこに因果関係はない。しかし「身体機能の若々しさ」というカテゴリーでくくったならば、両者に相関性を認めることが出来る。つまり「髪が伸びるのが早い人はエロい」、思うにこれは本当である。